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フリッツ・クライスラーが演奏したストラディバリウス、ナザレの若者の手に

ナザレといえばイエス・キリスト。イエスはベツレヘムで生まれたとかいいますが育ったのはナザレだと言われていて、私も子供のころ勉強したのを覚えています。そういう歴史を持つ街に生まれ育つというのは一体その人の人生にどういう意味を持たせるのだろうと、遠い日本からぼんやりと思いを馳せております。

ヤーメン・サーディYamen Saadiは1997年ナザレ生まれ。ナザレで育ち、バレンボイムの率いるウェスト=イースタン・ディヴァン・オーケストラに11歳で(!)参加し、17歳(もしくは18歳)でコンサートマスターになった。いわば神童やね。

そのサーディさん、フリッツ・クライスラーが1936年から45年までの9年間演奏したストラディバリウス「ロード・アマースト・オブ・ハックニー」(1734年製)をゲット。

https://www.thestrad.com/news/yamen-saadi-to-play-on-1734-lord-amherst-of-hackney-stradivari/13260.article

この楽器の詳細はここのページにもありますんで、オタクな皆様は行ってきてください。

https://tarisio.com/cozio-archive/property/?ID=40544

そしたら次は本人のサイトへ、ここ。

https://www.yamensaadi.com/

ようこそおかえり。でも黒ベースのウェブサイトって目がチカチカしませんか。ページの一番下に本人が関わっているピアノ五重奏団キャンティ・アンサンブルっていうのの記述があって、めっちゃ日本人ぽい顔があると思ってよく見てみたらミュンヘン国際で3位に入った近衛剛大さんですね。なるほど。世界はいろいろなところでつながっていると再確認。

しかしストラディバリウスをゲットというだけでニュースになるのだからストラディバリウスはやっぱりすごいですね。あんな小さくて軽い楽器が億超えするウルトラ高額ですから、普通の人には買えません。「おうおう、若い兄ちゃんなのにお金があっていいよね」とか思われたかもしれませんが、このお兄さんも買えてませんのでお間違えなきよう。お金を持っている財団がこの人の才能を見込んで3年間貸してくれるのです。

3年が経って、うむ、もっともっとということになると延長になるし、まあ、そろそろ、ということになるとまた別の人にお貸ししましょうということになるのです。シビアです。切磋琢磨が必要です。

日本ですと日本音楽財団がストラディバリウスをたくさん持っていまして、貸してくれます。募集要項が公開されているという大変親切な設計。借りたい方はこのあたりをご覧いただいて、我こそはと思ったら応募してみてください。

つうわけでサーディさんの演奏によるご挨拶をどうぞ。収録は3年前ね。・・・ってちょっっっ、すでにめっちゃいい楽器ですやんこれ。