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レイ・チェンが協奏曲の演奏中に弦を切ったと聞いて

どやどや、どうしたどうした。と野次馬のように集まってくるのである。

私は本来が噂好きなのだ。それにすてもレイ・チェンっていい名前だと思うんですよね。ジャッキー・チェンと同じ名字だからだろうか(カタカナが同じだけで違う可能性があります)。名前のせいだかなんだか、なんか強そうで、しなやかそうな気もいつもしているわけ。

そして実際当人もなかなかノリの良いお兄さんらしいっていうことは聞いていて、ざっつミュージシャン的な、こう、明るくて楽しい感じの印象を受ける方なわけ。

で、このレイ・チェン(何度読んでもリズムのいい名前だ)が先日、アメリカでチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲を演奏中にE線(ヴァイオリンの4本ある弦のうち構えた時に一番上にあって一番細い弦)を切っちゃった。そのときの反応がダイヤモンド愉快だったということだそうです。

https://www.seattletimes.com/entertainment/classical-music/watch-what-happens-when-star-soloist-ray-chens-violin-string-breaks-while-performing-with-seattle-symphony/

本人がオーケストラから動画もらってアップロードしているから見てくださいね。

おっと、という顔をしながらいそいそとコンサートマスターと楽器を交換して弾き始める(なおこれは「うおお素晴らしい機転!」と思うんですが、ヴァイオリン協奏曲でソリストの楽器の弦が切れたときはこうする、っていう世界共通のルールです)。しかもちゃんと胸ポッケに替えのE線を用意していて、それをオーケストラの第一ヴァイオリン奏者に渡して張り替えてもらっている。2列目の人に手渡しているのは、弦が切れたヴァイオリンは順々に後ろの人と交換していって最後に一番後方に座っている人が舞台袖に戻って楽器交換することになっているから。そしてその後に弾ける弾ける、ってアピールして客席がまた沸く。動画では出てこないけど、この曲の演奏中、自分の出番がないときに張り替えてもらった自分の楽器を返してもらって演奏したのでしょう。Oh,クール。

お客さんも、これはいいハプニングだったね、なんてナイスガイなんだ、エクストラオーディナリーとか口々に褒め言葉を言って帰ったのだろう。すうかりいい気持ちになってワインを引っ掛けて帰ったんじゃないかと思うんですよね。いや、シアトル交響楽団だけにコーヒーを飲んで帰ったのかもしれない。さすがはレイ・チェンである。

というわけで弦が切れた動画では定番中の定番というか、ものすごいのどうぞ。1986年、五嶋みどり(当時14歳)が演奏中に2回も弦を切っちゃって、2回楽器を交換して弾く動画。

この時ミドリはまだ3/4分数楽器を使っていて(子供用のサイズの小さい楽器)、大人用の高級楽器に持ち替えて何事もなかったかのように演奏する。一回持ち替えただけでもバーンスタインから終演後にキスブッチュー!されるやつですが二回やってるんで、バーンスタインでなくとも抱き締めたくなること間違いなし。

ヴァイオリニストたちの、鬼のプロ魂。