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デュッセルドルフ歌劇場の建て替え計画が進行中

ドイツのデュッセルドルフには日本の企業がたくさんあって、中華街ならぬ日本街みたいなんがあって、日本語を話す人がたくさんいる、んだったと思います。

それほど大都市ではないんですが1875年竣工の歌劇場があり、そこの建て替え計画が進んでいるということだそうでございます。場所はここ↓

デュッセルドルフ歌劇場(ライン・ドイツ・オペラ)の公式サイト:
https://operamrhein.de/

デザインはノルウェーのスノヘッタという建築事務所。CGはいくつか↓のURLにあります。
https://snohetta.com/projects/576-duett-dusseldorf

コンペがあって、勝ったんだろうなと想像するんですが、こういう複合的なビルを建てるのってすごく大変なんですよね。あまり普段意識されることは無いと思うんですが「いっぺん建てちゃうとあとから建物の構造は変更できない」ここがポイントかと思います。

例えば……

「ホワイエが異様に狭くて人が建物の外に溢れる」とか「エレベーターが足りなくていつも行列」「客席にたどり着くまでにいったい何回エスカレーター乗るの?」とか「女性のお手洗いが絶対的に不足して休憩時間がいつも足りない」「男性の小便器が丸見え」とか「舞台が半分はおろか3分の1しか見えない席が多数」などといった問題が出ないようにしないといけないのです。

またお客様からは見えないところで「楽屋からステージまでの動線が異様に遠いん(苦笑い)」「エレベーターにピアノが入らないから楽器庫からステージまで持って行けません(絶望感)」「楽屋からステージまでの間の見えにくいところにちっさい段差があって転ぶ人続出(痛い)」みたいな、そういう決定的な不具合がないように設計しないといけないわけです。

こういうのは建築事務所が経験として知っていないといけなくて、もちろん関係者がうんうんうなりながら、設計から完成までの間に不具合を見つけては潰していくんだろうと思いますが、このスノヘッタという事務所は有名なオスロのオペラハウスとか、上海、釜山のオペラハウスを手掛けていて、おそらく4つめのオペラハウスということになるので、そういう意味で安心でございましょう。いや、それでも気は抜けません。あとから決定的なバグが発見され一同で絶句、みたいなのはいわゆる「あるある」だと思います。

外側はV字の(デュエットという名称が付けられている。ダンサー二人をイメージしているとか)、ガラス張りの角張ったデザインしていますけれど、ホワイエあたりのインテリアはどうやら木目調の美しいカーブが多用されていて、きれいだな、NYのグッゲンハイム美術館みたいだなと思わせられる。

しかし同時に掃除が大変だろうなとも思うんですよね。こういう頑張ったデザインの建物って、掃除も特殊な動きをしないといけないので、掃除のいろは、みたいな手引もつくらないといけません。作ったら作りっぱなし、掃除の手順は現場にぶん投げ、だと後から恨まれる。うまく説明できないんですが、東急渋谷駅のエスカレーターに乗るといつもホコリまみれの部分が見えます。掃除、しにくいんだろうな……と思います。

ところで木目調というのは本当に木を使っている場合と、木目柄の壁紙を貼っている場合があります。オペラハウスだけに恐らく前者だろうと思いますが、作っていく途中でお金が足りない!ということになると壁紙に変更!ということも起こりうるのかもしれません。

劇場を作るのはなかなか大変なのです。