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戻ってきた2億5000万円のヴァイオリン

10月22日に空港で差し押さえられて以来、2ヶ月以上にわたり取り上げられたままだった超高額楽器が、ヴァイオリニストのアレクサンドラ・コヌノヴァのもとに戻ってきたそうです。

参考:

https://mcsya.org/conunovas-violin-petition/

この後詳細が本人の口から語られることになっているようですけれども、とりあえず、返還されたと。おお、クリスマス・プレゼントや!

もともと自分が使っていた楽器だけにプレゼントというのも微妙に違う気もしますけれど、ともかくおめでたいことでございますね。

国の文化大臣が謝罪をしたにも関わらず2ヶ月も没収されたままだったというのは、いったい大臣の存在意義ってなんなの、とか一瞬思いますけれど、大臣の意思表示とは別に現場は現場で与えられた仕事に忠実であっただけかもしれず、今でも現場はそういう気持ちでいるかもしれず、物事はそう単純ではないのではないかと想像しております。

実際に国際空港という場は、スマッグルスマッグルがスマッグルしているような殺伐とした現場であろうことも想像がつくだけに、現場の空気感っていうのも大事です。単に現場を非難しておしまい、というわけにもいかないかもしれないと思っていたりします。世界は多様で、いろいろな人がいて、性善説なんてとてもじゃないが信じられぬ場所というのもたくさんあると思いますし。

誰もがグァダニーニのことなんて知っているわけないし、コヌノヴァというヴァイオリニストの事を知っているわけでもない。むしろ知っている人に行き当たる可能性の方が低い。美輪明宏の黄色いヘアーが現れたら、ああ美輪さんだと思う人は多いだろうが、クラシックの演奏家というのはそこまでの名声を持っているものではないのが、現実。疑ってかかった税関はいい仕事をしたのかもしれない。

その一方で、2ヶ月も苦痛に耐えざるを得なかったコヌノヴァさんの気持ちを考えるとキュッと心臓が締め付けられるようだ。「みなさんの励ましがなければ私の2ヶ月は単なる拷問のような時間だった」と語っていますが、ともかくよかったですねハッピーエンド。終わりよければそれでよし。素敵な年末年始をお過ごし下さい。ラブラドールかわええ。

なお、スマッグルという言葉は可愛らしい響きがして、レッサーパンダ的なイメージがあって私は大好きなんですが、その実際は「密輸」という恐ろしい意味を持つ英単語であることだけは強調しておかねばなるまい。