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97歳のピアニスト、ニューアルバムをデッカからリリース(60年ぶり)

世の中には小説よりも奇なることがときどき起こるのです。

デッカと言うと、青と赤の模様でおなじみ。DECCAと書きますねん。ドイツ・グラモフォンとかEMIとか、そういうのと並び称される、いわゆる大手のレーベルの一つであって「デッカからレコード出てるねん」と言ったらそれだけでみんながハハーってひれ伏した、そういうものです。つまり、言ってみれば国道1号線とか2号線とか、そういう大切な道路だということです(例えが奇抜すぎる)。

ルース・スレンチェンスカ。日本でもカルト的な人気を持っている存在かもしれません。90歳を過ぎてなおピアノを演奏していたことは知られていたでしょう。しかしまさかここへきてデッカからCDを出すとは!サプラーイズ!

https://www.deccaclassics.com/en/artists/ruth-slenczynska/news/from-prodigy-to-living-legend-ruth-slenczynska-records-new-album-265308

https://www.bbc.com/news/entertainment-arts-59986543

スレンチェンスカはデッカから10枚レコードを出していた。最後の録音は60年前のもの。というわけで半世紀ぶり以上となる新作であります。演奏するのはラフマニノフとショパン、バッハ、ドビュッシー、バーバーだそうでございます。詳細は未発表。発売は3月18日!

スレンチェンスカ誰?という方のために一言でいうと、ラフマニノフのお友達です。

まじかよ。まじです。スレンチェンスカはラフマニノフの代役でコンサートに出演したし、ピアノも習ったのである。ラフマニノフの最後の弟子と言われますね。バーバーが有名な《弦楽のためのアダージョ》を作曲していた頃、まだタイトルもなかった頃からこの曲を教室で聞いていた、とも書かれております。

以下にこのCDのトレイラー映像がありますが、

こんな感じ。4歳でデビューした神童と解説文にあるので、現役93年!!

1930年の5歳の時の映像を見て驚け。

ワルシャワ音楽院の院長を勤めたほどのヴァイオリニストだったパパがレオポルド・モーツァルトばりに、いやそれ以上に厳しかったため、大人になってからも苦しんだようです。「禁じられた時代」と題した自伝も出てますね。一日9時間練習させられていたそうです。っていうか大人でも9時間は無理やろ。

レーガン、カーター、ケネディなど歴代大統領の前でピアノを弾いたこともあるし、トルーマン大統領とは一緒にピアノを弾いたこともある。またホロヴィッツのお葬式で演奏した。

97歳というと身体的な状態は大丈夫なのか、衰えはどうなのか、という点が気になるところでもありますが、もちろんそのあたりはよくよく考えられて選曲されているに違いない。いやーでも97歳になってなお、ピアノを弾きたいと思う気持ちがあるっていうのはすごいですね。自分なんか・・・・(自分と比較するのが間違い)。