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マーカス・フェルスナーのメッセージ

ゲルギエフのマネージャーを勤めていたフェルスナー・アーティスツ(ミュンヘン)が一昨日、ゲルギエフはもはや自分たちの顧客ではない、と声明を発表。

https://operawire.com/felsner-artists-drops-valery-gergiev-from-roster/

https://www.classical-music.uk/news/article/valery-gergiev-dropped-by-felsner-artist-management

以下その全文和訳。

ディレクターからの個人的な声明文

本日、マエストロ・ヴァレリー・ゲルギエフに、フェルスナー・アーティストの顧客ではなくなったことを伝えた。

ロシア政権が民主的で独立した国家であるウクライナに対して、またヨーロッパの開かれた社会全体に対して行っている犯罪的戦争に照らして、マエストロ・ゲルギエフの利益を守ることは我々にとって不可能であり、明らかに歓迎されないことでもある。このような犯罪を行うようになった政権に対して、長年表明した賛同の終焉を公にしない、あるいはできないマエストロ(史上最高の指揮者の一人で、多くの人々に愛され賞賛される、洞察力に溢れたアーティストである)が、その利益を守ることは不可能だ。

ヴァレリー・ゲルギエフは私にとってこれまで、そしてこれからも、存命する最も偉大な指揮者であり、深い良識を持った並外れた人間であり続ける。ゲルギエフの絶え間ない献身は、数えきれないほどのアーティストが国際的キャリアを築くのを助け、音楽の素晴らしさを世界中の数多くの人々に届けた。ゲルギエフはマリインスキー劇場の何千人もの素晴らしい音楽家たち、ダンサー、その他の職員たちにとって家族のような存在であり、常に自身も家族のように責任を感じていた。マエストロ・ゲルギエフの芸術に対する貢献は、現存するどの芸術家とも比較にならない。

国籍の違いだけで芸術家の責任を問うのは、まったく間違っている。すべての芸術は政治的であるが、すべての芸術家が政治家であるわけではない。しかし芸術家は、愛国心と自国の政府を積極的に政治的に支持することとの明確な違いも理解している。私の心からの願いは、マリインスキー劇場とそのディレクターであるヴァレリー・ゲルギエフが、膨大な芸術的遺産、美しい音楽言語をもち、素晴らしい才能の多数の人々をもつ国の、代表的存在となる自由を享受することだ。また彼らが、平和を愛する指導者、開かれた社会、法律を遵守する指導者を誇りに思える日が来ることを願っている。ある政府が私たちの大陸全体を、再構築された平和の秩序を悪意を持って攻撃しているとき、その政府の以前からの支持者が、政府が支援する職に就きながら、中立的に「双方」に平和を訴えたり、完全に沈黙することはできないと私は考えている。そのような人物に愛と献身をもって仕えることは人々にはできない。

私は個人的に心を痛めている。同時に、私たち全員に戦争を仕掛ける政権から直接的、間接的に何らかの利益を得るかもしれないと知りながら私たちのアーティストのため仕事を続けることはできないし、自分自身を鏡で見ることもできない。これは、私の職業人生の中で最も悲しい日である。私はヴァレリー・ゲルギエフのことを思っているが、それ以上に、目の前で繰り広げられる犯罪的戦争の犠牲となっている何百万もの人々のことを思っている。

マーカス・フェルスナー