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「アー」と30秒言い続ける。30秒咳をし続ける。どちらが粒子をたくさん発するか?→「アー」の方が倍。

経済も回しつつ、リスクを覚悟で動き始める必要がある、という雰囲気もそろそろ形成されつつありまるかもしれません。ふたたびクラスターの発生も起こっていまして、出来る限りの注意は必要です。しかし経済活動もしなければ、全世界総倒れである。

合唱についてはどうでしょう。リスク覚悟で、少しずつ、そろそろと動きが出始めますでしょうか、それともまだ厳しいでしょうか。

子どもは安全だから大丈夫、子どもの合唱団は再開しようよ!ほらほら、死亡率ゼロ!怖がってるコロナ脳はバカ!!とかそういう声があるのも知ってはいますけれども。

子どもは宝だしさずかりものですし、3人小さな子供がうちにもいますけれど(合唱はやってませんが)、これまでは子どもは大丈夫だったみたいだけど、突如ウィルスが子どもに向かい始めたらどうするとか、やっぱりどうしても考えちゃいますよね。強気になれなくてごめん。

一昨日のAFP通信に載っていた、これ。

『ドイツの合唱団はウィルスの高リスクの烙印を押され沈黙した』
German choirs silenced as singing branded virus risk
https://www.afp.com/en/news/717/german-choirs-silenced-singing-branded-virus-risk-doc-1sa9nq1

この記事の中では3月のベルリン大聖堂の合唱団のケース、そしてつい先日もフランクフルトの教会で発生したクラスターのケースなどが挙げられておりますが、ロベルト・コッホ研究所の見解などが出ていまして、知らないことも書いてありましたのでちょちょっとつまみ食いでご紹介しておきますね。皆さんのご参考になさってください。

●コッホ研究所のロタール・ヴィーラー氏は「飛沫は歌う時にとりわけ遠くへ飛ぶ」と警告している。

●合唱指揮者のトビアス・ブロマン氏は、合唱では「息を深く吸ったり吐いたりするので、ウィルスの飛沫が空気を漂っている場合、肺により早く入っていく」と指摘。

●ミュンヘンの大学やフライブルク大学では、歌は0.5mしか空気の流れを乱さないという研究結果も出しているが、フライブルク大学のベルンハルト・リヒター氏は、「そもそもわれわれはエアロゾルの測定を行っていない」、 小さな粒子は 部屋の中をはるか遠く循環する可能性がある。と警告。

→ミュンヘンの研究については拙ブログでも:

https://mcsya.org/choir-safe-guardian/

●同リヒター氏、「研究は現在進行形で行われている。歌手たちは白黒はっきりさせた明確な研究結果を待ち望んでいるが、まだわからない、と言わなければならない。」

●フランクフルトの教会ではマスクをせずに信者が歌い、少なくとも40人がそこで感染、最終的に感染者数は112人になった。

・・・んで、ここが驚きだったのですが、

●ネイチャー誌に掲載された研究によれば「アーー」と30秒間言い続けた場合と、30秒間咳をし続けた場合とでは、アーーの方が2倍の粒子を発生させる。

いや、これがわりと衝撃だったのですよね。えっ、咳より「アー」の方が「倍」出るんすか。念のためと思ってそのネイチャー誌の論文を探してみましたところ、ここにありました。

https://www.nature.com/articles/s41598-019-38808-z

でaahの文字列で検索すると出てきました。以下の部分。

Likewise, Morawska and coworkers reported that counting aloud for 10 seconds followed by 10 seconds of breathing, repeated over two minutes, releases half as many particles as 30 seconds of continual coughing, which in turn releases half as many particles as saying “aah” for 30 seconds. They also reported that more particles are released when speech is voiced, which involves vocal folds vibration, rather than whispered, which does not.

・・・んー、これ、そうなの?むしろ少ないんじゃないの?なんかめっちゃわかりにくいなと思って、これまた念のためって、英語を母国語とする人たちにたずねまくりましたところが、最終的に、「アー」が咳の2倍であるというのがこの論文の正しい読み方であるということがわかりました。

ツイッターでこのような一連の投稿も発見しましたのでご覧ください。

↑この方の理解によりますと、「歌はスピーチより6倍の飛沫を発生させる。」「スピーチからは咳よりも劇的に多くの粒子がリリースされる。」・・・つまり倍どころか、咳よりもスピーチよりも、歌ははるかにすごくやばい、ってことのようです。

5/31追記9:55AM追記
アーと咳とどちらが多く粒子を放出するかについて、論文の読み方がよくわかりませんでしたが、ワンおばちゃんのご友人であられるところの英語ネイティブ、特にアイルランド人大学教授(英語専攻)とオーストラリア人の知識人の2名に問い合わせた結果「アー30秒」の方が「咳30秒」よりも倍の粒子を放出する、という理解が正しいという事がわかりましたので、記事の一部を修正しました。

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まとめてあります】合唱とコロナに関する当ブログの記事一覧は以下ページにまとめてありますので併せてお読みください↓

https://mcsya.org/list-corona-and-choir/