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「世界的な不確実性」シベリウス国際コンクールは今年開催せず2022年に延期

クラシック音楽の国際コンクールもあちこちで開催が中止延期、オンライン化が発表されています。オンラインで実施したところも既にあるようだと承知しております。

コンクールって“星の数ほどある”と言われますんで、全部を追うことなんて絶対できないんですけれども、いわゆる「国際コンクール連盟」っていうのがありまして、そこに加入しているコンクールの現状っていうのは国際コンクール連盟のサイトに一定の間隔でアップデートされていますので詳しく知りたい方は以下からご覧ください。

https://wfimc-fmcim.org/covid19-current-competitions-update/

シベリウス国際コンクール(https://www.sibeliuscompetition.fi/)はフィンランドのヘルシンキで5年に1回開催されていて、若いヴァイオリニストのための世界でも最も有名で重要なコンクールの一つです。シベリウスって人が書いたヴァイオリン協奏曲は人類史上最高の名曲の一つですから、それにあやかって開催されるのは、いわば当然のことかなと思います。

この曲の映像(30分以上あります):

過去の優勝者入賞者リストはWikipediaが日本語で書いてあって読みやすいです。そこからこれという人たちを拾っていきますと・・・・

オレグ・カガン(1965優勝)
パヴェル・コーガン(1970優勝)
ヴィクトリア・ムローヴァ(1980優勝)
レオニダス・カヴァコス(1985優勝)
ペッカ・クーシスト(1990優勝)
エリザベス・バティアシュヴィリ(1990第2位)

一般の方はこの名前を眺めても感情は1ミリも動かないと思うんですけれど、重度にクラシック音楽に染まってしまっている我々がこのリストを見ますと頭の中にうわーっといろんなイメージが広がって一気にスパークしますのでしばらく近づかないでいてあげてください。

要するに世界で活躍するスター演奏家たちであるということを知って頂ければよろしいかと思います。テニスで言うところのナブラチロワとかアガシとかグラフとかサンプラスとかそのクラスのお名前なのかな、と。

前回は2015年で2位にエマニュエル・チェクナヴォリアンが入っている。この人はこれから出てくる可能性がありますよ。

で、このコンクールの6月12日付けの発表によりますと、今年12月開催予定だったものを2022年の5月に延期するそうです。半年先とか1年先とかに移動しているコンクールも多い中、1年半も先に動かすというのにはちょっと考えてしまいますね。

一応ウェブサイトには理由が書いてあって、

but due to global uncertainty around possible travel and assembly restrictions imposed to battle the coronavirus pandemic, the competition committee has decided to postpone the event.

The new dates were selected on the basis of multiple factors: the availability of the venues at Sibelius Academy and Helsinki Music Centre and schedules and previous commitments of the Finnish Radio Symphony Orchestra and Helsinki Philharmonic Orchestra, as well as those of the competition jury.

コロナウイルスの世界的流行に伴う旅行の可能性に関する世界的な不確実性、集まりの制限のため、延期を決定した。

新しい日程は複合的要因によって選択された。ホールの空き状況、フィンランド放響およびヘルシンキ・フィル、そして審査員のスケジュールである。

https://www.sibeliuscompetition.fi/en/news/12th-international-jean-sibelius-violin-competition-postponed-until-spring-2022.html

日程を組み直すためのパズルっていうのはすごい大変なんですよね。事務局の方々の骨折りを想像して「まじお疲れ様です」と言うしかないんすけど、こうして無事に発表できる段階まで来たということは喜ばしいことです。

しかし「新型コロナウイルス感染症の収束の見込みがたたない」とかそういうのではなく、「世界的な不確実性」という言葉が出てきているところに、世の中は新たなフェーズに入ってきているのかなと、そういう感想を持ちました。

世界中の人々が困難なくヘルシンキに集まれるのはいつなのか。コンクールに参加するため、あるいは客席で座って見るため集まれるようになるのはいつか。ここにいま計り知れぬ不確実性が横たわっているわけです。再来年の5月には問題なく集まれるようになっていることを期待して、事務局も動いているわけでしょうけれども。

ハハハッ、あんときはいろいろ考えたけど考えすぎだったよね!みたいな、コンクールが始まる頃にはそんなハッピーエンディングとなっていることを期待いたします。