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レヴァイン、メトロポリタン歌劇場との訴訟で和解し、約3億7千万円を受け取っていた。

【この投稿では1ドルを105円として計算しています】

ジェイムズ・レヴァイン。ニューヨークのメトロポリタン歌劇場との新たなる10年契約を僅か1年半で打ち切られ解雇となった件に関して訴訟を起こしていましたが、昨年和解が成立し、レヴァイン側が約3億7千万円(350万ドル)を受け取っていた、それが今月公表されたそうです。

詳しい話はこのニューヨーク・タイムズ紙をご覧ください。めちゃ興味深いので、ぜひ原文にあたって見られることをおすすめします。

https://www.nytimes.com/2020/09/20/arts/music/met-opera-james-levine.html

なぜ解雇になったかというと、詳細は省略いたしますが、複数の10代男性(当時)に対するセクハラ疑惑。「君のペニスは大きいの?」とか聞いたと言う報告あり、ぐえーっ、生々しい。しかしレヴァインは黙ってはいなかった。契約違反と名誉毀損でメトロポリタン歌劇場を訴えたのだ!!さすが訴訟社会アメリカだ!しかもその金額を聞いて驚け、少なくともおよそ6億1100万円(580万ドル)を要求するものだったのだ。

両方のサイドで弁護士費用が数百万ドルずつ使われ(うーんアメリカ)、結論として名誉毀損の部分はすべて棄却された。「契約違反」の部分が争われた結果、レヴァインが約3億7千万円(350万ドル)を受け取るということで和解に至った。うおー。

契約書上にはメト側が契約を破棄できる理由として道徳上の理由の項目がなく、天災などを除きレヴァインが死亡するか障害などによって能力がなくなった場合(Mr. Levine’s death or disability.)のみが書かれていた。ここが契約違反とみなされたわけです。おう。みなさん、契約書、やっぱ重要ですね。

メトロポリタン歌劇場側は大損。この金額のうち約9500万円(90万ドル)以上は保険で支払われたそうですが、約2億7400万円(260万ドル)は自腹。そこに弁護士費用が数百万ドルってことは、まあ仮に約2億1000万円(200万ドル)だったとすると、約4億8500万円(460万ドル)はメトが自腹で?払っているっていうことでしょうか。レヴァイン側にはわずか(わずか・・・)1億ちょいしか残らなかった計算か。

いやでもメト側の訴訟費用(180万ドル)は保険から払われたということも書いてあるんで、メトがかぶったのは約2億7400万円(260万ドル)ってことか。このへんの仕組み詳しくないので間違っていたらすいません。メトロポリタン歌劇場の総予算規模からすれば大きくはないのかもしれませんが、しかし大金であることは間違いない。しかも今はコロナで歌劇場の運営も危機だからダメージは無視できないレベルでしょう。

ピーター・ゲルブ総支配人によれば「メト側に有利な和解」だったそうですが、2億円以上を支払う結果になっておきながら有利とするのはやや苦しい。

またレヴァインはレヴァインで、350万ドルで和解することに難色を示し、サインを拒否する場面もあったそうですからすごいや。

強烈なエゴとエゴのぶつかりあいあいだ。