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【業界ニュース】パリ・オペラ座の合唱指揮者に台湾出身の女性が就任

フランス最高峰の歌劇場、パリ・オペラ座の新しい合唱指揮者に台北出身の女性ウー・チンリェン氏が就任します。同歌劇場の歴史上、女性が就任するのは初めてとのこと。これはかなりすごい話かなと。恥ずかしながら合唱の世界にあまり詳しくはないのですが、経歴を見ますとフランス語圏、そしてオランダの第一級の現場で長年活躍されてきた方のようです。

https://www.francemusique.fr/musique-classique/ching-lien-wu-devient-la-premiere-femme-cheffe-des-choeurs-a-l-opera-de-paris-92421

https://operawire.com/ching-lien-wu-appointed-new-chorus-master-at-opera-national-de-paris/

合唱とか歌唱とかいう世界は言語と密接に関わりがあるので、ただうまく歌うことを教えるだけでなく、細かなニュアンスとかそういうのも、ネイティヴ相手に対等にわたりあっていかないといけない。「この言葉の意味が判っていないのでは」とか、「この単語に含まれるニュアンスがどう音楽に反映されているのか、判っているのか」とか、そういう難題も降り掛かってくるのです。

何年か前にリッカルド・ミナーシというイタリア人指揮者と会話をしていて「イタリアオペラはイタリア語という言語と密接に関わりがあり、単語の繊細なニュアンスが音楽とがっちり組み合わさっているので、イタリア人以外にはなかなか理解が難しいだろう」と言っていたのを思い出します。

これはイタリア語に限らず、すべての言語でそうですが、台湾人(アジア人)の女性という、言ってみればクラシック音楽の世界では2重の意味でのマイノリティが「プライドが超絶高いフランス最高峰の歌劇場の合唱指揮者に就任する」というのは、かなり衝撃的かつ素晴らしいニュース、ブレークスルーなのではないでしょうか(ほかにも事例が多数あったら申し訳ありません)。本当に素晴らしく優秀な方であることは間違いないと思います。偏見や嫉妬、陰謀や詐術に負けない、力強いご活躍をお祈り致します!

ウー氏の簡単なプロフィール:台北で学んだ後リヨン国立高等音楽院で学び、1989年にナント・オペラの合唱指揮者に就任。そののちトゥールーズ・キャピトル劇場の合唱指揮補佐、1991年ストラスブールのライン歌劇場合唱指揮者、ジュネーヴ大劇場の合唱指揮者をヘて2014年からオランダ国立歌劇場合唱団の芸術監督。自身の合唱団「ジュネーヴ・モテット」を率いて活動しており、スイス・ロマンド管、ジュネーヴ室内管などとも公演を行ってきた。パリ・オペラ座には今年4月に就任する。

※Chorus masterとかChef des choeursなどを合唱指揮者と訳しましたが誤訳でしたらご教示ください。