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ウィーン・フィルからメトロポリタン歌劇場オーケストラを憂うメッセージ「世界が注目している」

MET ORCHESTRA MUSICIANS.ORGより

メトロポリタン歌劇場のオーケストラは給与ゼロが昨年4月1日より続いており、団員の生活が苦しくなっているということは知られていますでしょうか。

メトロポリタン歌劇場があるニューヨークのリンカーンセンターは4月の再開を目指しているとはいえ、オペラが上演できるようになるのはまだまだ先の話でしょう。今後もかなりの期間にわたって、オーケストラ団員に明るい話は来ないのではないか。

そんななか、ウィーン・フィルの団長でありますダニエル・フロシャウアー氏がウィーン・フィルを代表し、メトロポリタン歌劇場のオーケストラの苦境を世に知らせる公開状を出しました。メトロポリタン歌劇場オーケストラのウェブサイト、METORCHESTRAMUSICIANS.orgで読むことができます。以下URL。

https://www.metorchestramusicians.org/vienna-philharmonic-vorstand-the-world-is-watching/

彼らのTwitterとFacebookでも。

Vienna Philharmonic / Wiener Philharmoniker releases a statement of support: “The world is watching… The members of…

MET Orchestra Musiciansさんの投稿 2021年2月26日金曜日

英語で書かれているその文章全体は以下の通り↓

To Friends & Supporters of Classical Music

Vienna, February 24, 2021

Dear Ladies and Gentlemen,

The world is watching. 30% of the members of the MET Orchestra can no longer sustain a living in New York City due to being faced with no salary from the Metropolitan Opera since April 1, 2020. This number will likely climb higher as the crisis continues. The Met’s global reputation and the cultural landscape of New York City would be devastated by the loss of artists of this calibre – this orchestra hosts some of the best players in the world. These musicians have a cultural and economic impact beyond that of bringing great opera to the world; they are teachers and mentors too. They contribute to the communities they live in by inspiring people in all areas and stages of life.

The members of the orchestra need more advocacy from their management and support from the Government. There should be more attention on this cultural devastation before it is too late. We as colleagues and friends from the Vienna Philharmonic hope that the Metropolitan Opera can find ways to adapt and include their house musicians in their programming efforts going forward.

Daniel Froschauer
Vorstand der Wiener Philharmoniker

上の文章をざっと訳すとこういう感じになります:

クラシック音楽の友人たち、サポーターの方々へ

2021年2月24日、ウィーン

皆様

世界が注目している。2020年4月1日よりメトロポリタン歌劇場からの給料がゼロとなり、オーケストラ団員の30%がニューヨーク市での生活を維持できなくなっている。そしてこの数字は、危機が続く限りさらに大きくなる可能性が高い。この危機によってアーティストが失われれば、メトロポリタン歌劇場の世界的名声およびニューヨークの文化的な状況は壊滅的な打撃を受けることになるだろう(このオーケストラは世界最高の演奏家たちを擁している)。彼らは世界中に優れたオペラを届けるのみならず、文化的、そして経済的に大きな影響を与えている。そして教師でもあり、よき相談相手でもある。あらゆる分野、あらゆる年齢の人々の心を動かし、メンバーたちが生活する地域社会に貢献している。

団員たちは経営陣や政府からのさらなる支援を必要としている。この文化的危機は手遅れになる前にもっと知られるべきである。彼らの同僚であり友人でもあるわれわれウィーン・フィルは、メトロポリタン歌劇場が同劇場の今後の計画に劇場の音楽家たちのことを含めることを願っている。

ダニエル・フロシャウアー
ウィン・フィルハーモニー管弦楽団団長

この手紙が、メトロポリタン歌劇場オーケストラと対であるウィーン国立歌劇場のオーケストラ名義ではなく「ウィーン・フィル」の名前を使って出されていること(ウィーン国立歌劇場のオーケストラとウィーン・フィルは同一ではないんですよ。ウィーン国立歌劇場オーケストラのなかの特別に選ばれた人だけがウィーン・フィルのメンバーになれる)、宛先が「クラシック音楽の友人たち、サポーターの方々」となっているあたりに熟考、調整の跡が見えるようです。政治的に配慮されていると言えましょう。