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ヤンネ・メルタネン ディスク評~MERTANEN CHOPIN (2023)~

Janne Mertanen: ‘Chopin’ 【グラモフォンマガジン 2024年6月】 (登録すると読めるようになります。)
ここでは、かいつまんで紹介します。

《バラード第4番》では、作曲家の指示を忠実に守り、リテヌートを控えめにしながら流れを保ち、劇的な効果と優雅なシンプルさを両立させている。

《即興曲》では、他の演奏家とは異なり、透明感やトリオでのダイナミックな展開が際立つ演奏になっている。

《舟歌》では繊細で整った指さばきは美しいものの、リズムの不安定さにより、勢いが削がれている。
《ロ短調ソナタ》では激しい勢いやあじたーとな表現、流麗さやバランスの取れた表現などが際立ち、メルタネンの芸術性が最もよく発揮されている。

qobuz ALBUM REVIEW(James Manheim)

メルタネンの演奏は豊かで、多彩なテクスチャーが感じられます。特に説得力があるのは2つの即興曲で、まるでショパンの当時の聴衆が理解したであろう隠れた物語が含まれているようです。しかし、どの作品も多様性に富んでいます。大作であるバラードや舟歌では、ペダルの微妙な操作が際立ち、聴衆を夢のような風景へと導いています。主な注目作はピアノソナタ第3番で、メルタネンの緻密な演奏は、繰り返し聴くことで新たな発見をもたらすかもしれません。冒頭のジェスチャーは、メルタネンの手にかかると、ブラームス的な暗示に満ちた性質を帯びています。これは広く知られるべきピアニストによる重要なショパンのリリースであり、2023年後半の録音の中でも特に印象的な作品の一つです。

ヤンネ・メルタネン 公演情報