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【訃報】ラドゥ・ルプー、そしてニコラ・アンゲリッシュ

© Decca / Mary Roberts

ラドゥ・ルプーがなくなりました。そしてニコラ・アンゲリッシュもなくなったというニュース。今日は朝からなんという日なのでしょう。

ルプー、享年76。アンゲリッシュ、享年51。2022年4月18日没。

https://www.radioclassique.fr/magazine/articles/radu-lupu-le-celebre-pianiste-est-mort-des-suites-dune-longue-maladie/

https://www.radiofrance.fr/francemusique/le-pianiste-nicholas-angelich-est-mort-1939650

スイスで引退生活を送っていて、インタビューも受けることがなかったルプーは、語らない、という美学を貫いた人物でした。録音に関しても若い頃のものしかありません。椅子も背もたれのあるものをつかって、しばしばぐっと背中をつけて椅子と一体化して演奏するっていう独特のスタイル。

長くルプーのマネージャーを務められた板垣千佳子さんがその豊かな人脈を駆使してルプーの友人たちに語ってもらった「ラドゥ・ルプーは語らない。」という本が最近出て、同じ地上(スイス)にいたルプーに思いを馳せながら、想像力を働かせながら読めたのは幸いでした。

この本はあらゆるピアノ関係者、ピアノファン、音楽ファン必読の本だと思って・・・なに?まだ読んでいない?控えめに言って「超」が5000個ぐらい付く最高の本ですから、即座にお読みになることを強く強くお勧めいたします。かけがえのない、という言葉がありますけれど、本当の意味でかけがえのないピアニストについて知ることができる貴重な本です。

若い頃だけとはいえ録音が残っているのは本当に私達にとって幸いなことです。私はナクソス・ミュージック・ライブラリーに長く課金していて、ありがたくいろいろな音源を聞かせていただいていますけれど、ルプーのような演奏を聴くためにこそこのライブラリーは存在しているのだと思っています。

それにしても、同じ日に著名ピアニストが2人も亡くなるとは、今日はなんという日なのでしょう。

ニコラ・アンゲリッシュはフランスっぽい名前をしていますが、アメリカ生まれのアメリカのピアニスト。エラートからCDが出ているし、フォルジュルネなどでも来日をしているので、ご存知の方も少なくないでしょう。私は、えっ、アルゲリッチじゃないの?アンゲリッシュ?しかもアルゲリッチと仲が良い?・・・???と思ったのがアンゲリッシュという名前との出会いでした。もう20年以上前のことですね。今月末にはカナダのモントリオールでベートーヴェンの皇帝を演奏する予定になっていた。肺の病気とありますが詳細はわかりません。51歳。苦しみがなかったことを願います。

76歳だってまだまだ若いのに、51歳は若すぎる。