MCS History

MCS は、ロンドンはウィグモア・ホールのあるメリルボーン地区のモンタギュー・スクエアで丁度今から12年前の2006年5月21日に産声をあげました。当初は自宅を使ったサロン・コンサートでしたが、それがいつの間にか両隣の家でもコンサートを開催させていただくようになり、我が家の隣の広場のお宅にと、とうとう数ヶ月の間に、隣近所7カ所で二週間おきに催しを企画するようになってしまいました。最初は学生の演奏で、まさに聴いていただくという事で感謝の意味も込めてシャンパンとカナッペをお出ししていました。シャンパンの試飲会をするからその前に演奏を、という風に、ご近所の方々が今度は我が家で企画して下さいと、シャンパンか音楽かという感も無きにしも非ずでしたが、いつの間にかそれが定着し、地元の住民や知り合いだけではなく段々仲間増えて行きました。

会員数が100を超えたあたりから、ちゃんとした名前をつけなければということになり、誰かが言いだしてメリルボーン・シャンパン・ソサイエティーとなりました。当初は、まさか会員が増えて継続性のある会になるとは想像だにしなかったので、これでいいかと誰もが思っていました。入場料をいただくようになり、ただサロン・コンサートでシャンパンを飲むだけでは能がない、未来の音楽家を支援しようと、初めて少額の奨学金というには程遠い支援金を5名のお音楽院の学生に提供すことになりました。紆余曲折があり、年齢26から33歳までの将来演奏家として活動するであろう人を3年から5年に渡り一人撰び、支援するという今のMCS  STUPENDIUM という賞になり、最初の受賞者にセルゲイ・ソボレフが選ばれました。コンサート回数50回をこなし、2016年からは第二回生の三人のピアニスト、セルゲイ・カスパロフ、フィリップ・コパチェフスキー、アンドレイ・ググニンにバトンが引き継がれました。その一人、アンドレイ・ググニンが、この度シドニー国際ピアノコンクールに優勝いたしました。
ここまで10年かかってしまいましたが、今ではかつての隣人が、アメリカやスイス、ウィーンなどに戻り、外国でもサロン・コンサートや小さな演奏会をするようになりました。
日本でも、帰国された方々が何人もおられ、皆んなで未来のアーチストを支援した温かい気持ちを大切に、ロンドンでの小さなサロン・コンサートを思い出して戴くべく今回の公演を皆様のご協力の元に開催させていただきます。
今まで、イーゴル・カーメンツ、アレクセイ・リュビモフ、セクエイラ・コスタ、パウル・バドゥラ・スコダ、アンリ・バルダ、ケヴィン・ケナー、カティア・ブニアティシビリ、ヤンネ・メルタネンが、ヴァイオリンではリヤナ・イッサカーゼ、セルゲイ・マーロフ、ユーリ・レーヴィッチ、アンドレイ・バラーノフ,オルガンではカレヴィ・キヴィニエミを始めとする数多くの演奏家が私達の小さなサロンコンサートや共催のフェスティバルに出演してくれました。
これらの音楽家の方々、理解あるスポンサーの方々、又、奨学金を捻出するために、コンサートだけではなく、シャンパン試飲会や、バザーなどで支えて下さった会員や聴衆の方々に、今日までこの活動を続けられた事を心より感謝申し上げます。