先日、「補償金が支払われていない」ということでインタビューとして掲載させていただいたフランクフルト在住のピアニスト犬飼新之介氏より連絡がありました。補償金を自分ももらうことができた、とのことです。おおぅっ!!
「補償を受けられたという事実を皆様にお伝えする義務があるかと思い」わざわざご連絡頂いたとのこと。このような大変な状況のなかご連絡を頂けたことに深く感謝申し上げます。
詳細は以下の通りです。
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3ヶ月分の経費を補償金としてもらいました。その後どうなるかはわかりません。とりあえずこの3ヶ月の間に必要になる経費を申請し、その金額のうち一部が支給された、ということになります。
そのうちわけは、ざっくり言いますと家賃(仕事部屋)、通信(携帯、家のインターネット)、交通費、事務用品(購入したもの)くらいだと思います。交際費も入れたかもしれません。
補償金の財源は国ではなく恐らく州だと思います。Regierungspräsidium Kassel(注:ヘッセン州のカッセル行政管区。日本でいう「県」のようなもの)とやりとりしましたので。ただ、国からの財源が州に振り分けられているという可能性もあります。(例えばベルリン州なんかは人口も多いしアーティストも多くいるので、財源が多く振り分けられていて、自由度の高い補助金があるかも知れません。あくまで想像ですが。)
やりとりは基本ウェブサイトからで、県からの連絡は基本メールで来ます(こちらから返信はできない?)。あと、1回だけ拒否の手紙が紙で送られてきました。
ただし、もらった補償金のうち、使わなかった経費は返還の義務があります。使った使わなかったをどう証明するのか、という点についてはまだよくわかりません。
●以下、犬飼新之介氏が補償金をもらうまでにどういう動きがあったのかを教えていただけたので、記述いたします。
3月にまず補助金を申請しました。しかしこの時、僕の手違いで署名するのを忘れていました。オンラインですべて個人情報、確定申告の写し、経費計算などの情報を送付したあと「受理しました」という画面が出てきました。ここで安心してちゃんと読まなかったのですが、本来はこの後別のサイトに行き署名の画像を添付してはじめて完了という流れだったようで、ちゃんと読まずその後の作業を行わなかったのは僕のミスです。
いくら待っても何の音沙汰もなく、なんか変だなぁと思ったので、4月にもう一度申請しました。この時には前の申請番号では行わず(ログインしても、訂正も何もできなかったので、、)二度目の申請を、前回と全く同じ内容でしました。このときは署名を含め最後までしっかりやりました。
するとすぐに「経費計算が曖昧なのでちゃんとしたデータを送ってください。」と連絡がメールで来たので修正して送りました。その際にも「補助金は個人の生活資金や収入を補填するものではない、経営に関わる最低限の保障のみの負担である」と書いてありました。
修正データ送信後、また約一ヶ月沈黙・・・。
そして5月末に連絡が来ました。この時は家賃についての問い合わせでした。家賃はとりあえず全額を申請していましたが仕事部屋分(平方メートル)の家賃だけを正確に計算して出してください、とのことで、メジャーで測って、家賃の43%を仕事部屋としました。これにあわせて家賃を再計算し、他の経費計算もさらに細かいものを作って送りました。
その後、なぜかわかりませんが6月初めになって「Ablehnungsbescheid」が手紙で届きました。これはざっくり説明すると、補助金申請を正式に「拒否します」という手紙です。ガーン。
その理由として、、、と、いろいろと書いてありましたが、ともかく「残念っ、、!!」と思っていた所、数日たって今度はメールが届き「申請が通りました、あなたの3ヶ月分の補助金は1847,37ユーロです。」と連絡がきました。なぜ一度拒否の手紙が来て、そのすぐあとに通ったというメールが届いたのかは不明です。
金額の詳細については追って連絡が来るようですが、この額は僕が算出した経費の総額よりも500ユーロくらい少ないものです。細かく経費計算をして提出してあったので、どの項目かはわかりませんが、これは乗せられない、というものがはじかれたのかなと推測します。
それからは早くて、数日後にはお金が振り込まれていました。
以上です。
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日本の皆様にもドイツの生の声を知っていただく機会となりますことを願うとともに、今後犬飼氏およびヨーロッパ全体の状況、経済が上向いて行くことを心より願っております。