ドイツで活躍しておられる犬飼新之介氏には、既にこのブログに2度、ご登場いただきました。
犬飼氏が一昨日、日本に帰国されたという情報を得て、またまたご登場いただけないかと打診いたしましたところご快諾をいただきましたので、本日は3度目のご登場を頂くこととなります。
さて、いま、世の中でそろりそろりと開催されているコンサート。いまは出演者のほぼ全てが日本人ですが(ごくまれに日本在住の方、日本から帰れなくなった方などの公演もあるようです)、日本人アーティストが必ず日本に住んでいるというわけではありません。海外在住の方も、指揮者ソリスト問わずおられるわけです。
そういった方々が日本でコンサートに出演するにあたり、どのような手順で帰国しているのかご存知ですか。「誰それはこうだった、ああなってる」という話もぼつぼつ聞いておりましたが、今回こうやって犬飼新之介氏にお尋ねしてまたわかったこともありましたので、皆様にも知っていただきたく思います。
もちろん犬飼新之介氏の今回の一時帰国は、コンサートへの出演が予定されているからでもあります。2週間の自宅待機ののち、福知山市と高崎市で、開催。詳細はこちらからご覧ください(高崎の公演詳細は後日発表いたします)。
それではインタビュー、どうぞ。
ご注意:このインタビュー内容は2020年8月11日段階で犬飼氏個人の体験に基づくものです。また今後状況に応じて対策、対応などが変化していく可能性も十分にありますことを踏まえてお読みください。
・ ・ ・ ・
日本に帰国する
●搭乗前のPCR検査は必要なのでしょうか。
必要ではありません。
フランクフルト空港では「任意で」「有料で」検査が可能ですが、私の知人が日本到着後の検査を避けようとドイツでPCR検査を行ったところ、日本到着後に「陰性の検査結果はドイツ側から届いているが日本で改めて検査をしないと入国できない」と言われたそうです。これを聞いていたのでフランクフルト空港では検査をしていません。
ちなみにドイツ在住者が「リスク指定地域」からドイツに帰国する場合、PCR検査を受け14日間の自宅待機が義務になっています。これは無償のようです。到着後空港で受けるか、24時間以内に家の近くの保健所で受ける必要があったと思います。なお現在のところ日本は「リスク指定地域」には指定されてはいません。
●搭乗前に検温など、PCR以外にしなければならないことはありましたか。
搭乗日の前日、航空会社から来たメールに「検温をしておいてください」と書いてありましたが、当日検温についてのデータを求められることはありませんでした。
機内にて
●機内は混んでいましたか。エア代は高かったですか。
とても空いていました。僕の目の届くところで約20~30人ぐらいの乗客(エコノミークラス)だったように思います。例年ですとフランクフルト-羽田、もしくはフランクフルト-セントレア(中部国際空港)のエコノミークラス往復運賃は8月ですと900~1200ユーロあたりなのですが、今回のチケット代金は930ユーロでしたのでおおむね通常通りといったところでしょうか。ちなみに現在航空券は変更可能なものになっています。
●機内でコロナ対策はありましたか。普段と違った点がありましたか。
機内ではアテンダントの方々はマスクとゴム手袋を着用されていました。乗客も常時マスク着用が義務でした。「病院の手術室で使われているような高性能フィルターを使い、3分に1回機内の空気が外気と完全に入れ替えられる」といったアナウンスもされていました。
その他、免税品販売はなし、ドリンクのサーブも1回のみでした。5、6枚のコロナに対する質問票(滞在先、連絡先、滞在期間など)が配られ、機内で記入しました。機内食は通常通りでした。一応おにぎりやナッツなど持参しましたが(笑)。
入国まで
●日本入国にあたってどういう手順を踏んだのかを教えて下さい。
羽田空港第3ターミナルに到着(国際便到着は今は全てここです)。機内でまず15分ほど待機し、続いて日本入国組と他国への乗り継ぎ組に分かれました。今回は入国組が先に降り、検査場へ。そこで簡単な説明を受け次の部屋へ。検査内容の説明を受け、検査開始。
今月から導入された「抗原検査」で唾液を採取しての検査でした(後になって判ったのですが、その時はPCR検査と思い込んでいました。1時間程度で検査結果がわかるようになったらしいです)。漏斗を使って試験管に唾液を採取、それを提出して次の部屋へ。
広いロビーのようなところでした。検査結果を待つ人たちが座っています。もちろん距離を保って、、、。ここで1時間ほど結果を待って、検査番号を呼ばれました。無事陰性だったのでホッとしました。
検査の精度や結果についての信用性など、そういうものを疑い始めたら何も信じられませんが、検査を受けて陰性と結果が出た自分自身は今一番安全な人間のように感じられました。
そののち次の部屋へ移動。機内で書いた質問票を見ながら、検疫官とのお話し。日本滞在場所、連絡先、滞在期間の確認のほか、空港からどのように移動するかのチェック。浜松から母と義理の弟が車で迎えに来てくれることを伝えました。
フライトの到着予定時刻が朝の7:30だったので、検査結果までの時間などを想定し羽田に10:30から11:00くらいに来てもらうようにしていました。しかしこの検閲官とのお話が終わった時点で9時前。なので、迎えが到着するまでの待機場所について質問したところ「到着ロビー」(公共スペース)で密を避けて待っていてくださいとのこと。
別室が用意されていると思ったので、少し驚き。もっと驚いたのは、検疫官が到着後にみかけたどの空港職員よりも軽装備だったことでした。ノーマスクでした。
●入国時検査は任意か、有料か。
任意です。ただし「これを受けないと入国できない」となっているので事実上強制です。無料でした。後から請求書が届くようなことも恐らくないと思います。
●入国時の検査で陽性だったらどうなるのか。それに関して説明がありましたか。
説明はありませんでしたが、陽性の場合はたぶん即隔離&病院へ緊急搬送でしょうか。
空港から先
●空港から先、公共交通機関が利用できないというのは本当ですか。
公共交通機関は不可です。これが理由で夏の一時帰国をやめたドイツ在住の知人がたくさんいます。「車でのお迎え」「レンタカーで自力で戻る」(レンタカー会社によっては検査で陰性であることがわかっていることが条件)、そして「ハイヤー」(タクシーはダメ)。この3択です。
ホテルや宿泊施設で14日間の待機を行う場合のみ、ホテルへの移動はシャトルバスが許されている、とも聞きました。つまり不特定多数と接触し、感染源が辿れないような移動手段は禁止されています。
レンタカーを借りて乗捨てで実家の浜松まで戻る可能性も考えましたが、迎えに来てもらえることになり、とても感謝しています!ちなみに日本到着後、国内線乗り継ぎも禁止です。
陰性の場合でも公共交通機関NGというのは、機内で配られた紙に書いてあったと思います。ただ、海外にいるとそういう情報が領事館のメールで届いたり、体験談もちょくちょく耳にするので、情報として知っていました(危機感は皆常に持っていると思います)。
先月まではPCR検査だった
7月までは空港での検査がPCRでした。これについては結果が出るまで10時間かかるとか、12時間とか24時間とか色々な情報がありましたが(空港の混雑状況にも影響するのだと思いますが)、検査を受けた後、結果を待っている必要はなかったそうです。なので結果を待って空港を出る組と、待たずに迎えの車で帰る組に分かれていたようです。
結果を待つ組は、段ボールのベッドがあるスペースで待機(午前到着便)、または結果を国の用意したホテルで待つ場合(午後到着便)とに分けられ、結果が出るまで検疫官の管理の元行動することになっていたそうです。
結果を待たずに迎えの車にて自宅で待機し、結果をメールまたは電話で受け取る組は、検疫官が一人に一人ずつついて見送りの車まで同行する、ということでした。
しかし上述のとおり、今月から羽田空港での検査は「抗原検査」に変わったので、全員結果を待って入国するよう変更になっていました。
そして陰性となった人は、預け荷物受け取りから到着ロビーに出てからは検疫官がついて回るということはなく、正直な話、「乗ろうと思えばこのまま電車やバスに乗ることも出来るな」と感じました。
羽田空港のロビーに1時間弱滞在して、車で浜松の実家まで戻ってきました。庭くらいには出ると思いますが、基本的には不要不急の外出を避け、家の中でじっとしているつもりです。
●ご家族も2週間自宅待機とかになるんでしょうか。自宅待機は任意ですか。
家族も自宅待機をしてください、とはなりません。自宅待機に関しての注意書きに「不要不急の外出を避けてください。どうしてもの場合はマスク着用をして、消毒を徹底し・・・・」と書いてあったんですが、これはちょっと気になりました。「どうしてもの場合」ってどういうケースでしょうか。
ドイツの場合、コロナ感染者が増加している時には、自宅待機が免除される条件についても、日常生活に必要な買い物、健康を維持するための一人で行うスポーツ(ウォーキングやランニング)、犬の散歩(これはイタリアかスペインだったかも)などとしっかり決められていました。守らなかったら罰金です。
「どうしてもの場合」という曖昧な表現が、混乱を招く気がします。何がよくて何がダメなのかの線引きを、市や県や国単位で統一しないと、人間関係のトラブルが起きてしまうかもしれません。すごく繊細な問題のように感じています。
●2週間の自宅待機を守らないと罰則がありますか。
上記のように、日本では拘束力がないのでしょう。罰則についての表記は特にありませんでした。
時差ボケにも関わらず丁寧にお答えいただき、ありがとうございました!!2週間は長いと思いますが、ゆっくりと休みながら隔離生活を満喫してください。
(了)