20世紀のピアノ界にとって最も重要だった人物の一人、デイム・ファニー・ウォーターマンが昨日、お亡くなりになりました。享年100歳。各誌一斉に報道しております。
https://www.pianistmagazine.com/news/dame-fanny-waterman-dies/
https://www.classical-music.com/news/dame-fanny-waterman-dies-at-100/
おなくなりになってすぐにこういう弔文が出るってすごいな、とかつて私は思っていましたが、実はここだけの話、そろそろお声が、、、、という方については予めだいたいの内容を準備しておくものなのだそうです。日付などを入れてちょちょっといじれば完成、という風にしておくそうです。なんだかなあ、という思いも若干いたしますけれど、そういうものなのでしょう。人生は儚い。
さて、音楽ファンを自認する人でファニー・ウォーターマンを知らないという方はもぐりと言ってよろしいでしょう。自身の生まれ故郷リーズを世界的に(ピアノ業界的に)有名にした立役者と言えば、あーあー、あのファニーね!!とポンと手を打っていただけることでしょう。BBCプロムスではあのヘンリー・ウッドとも共演してるんやぞ。・・・・何?まだわからない?そうでしょうそうでしょう・・・・・(ト書き:自分、さみしげに舞台を去る)。
あのリーズ国際コンクールを開設したおばさまなわけです。大変小柄で、小柄度で言えば152cmしかなかったエドヴァルド・グリーグと同じぐらいではないか、あるいは私の母と同じぐらいしかないのではないか。しかし身体のサイズは関係ない、モーレツおばさまでした。
リーズ国際コンクールを世界でもっとも有名なピアノのためのコンクールの一つにまで導いたその手腕、業績は図りしれない。ショパン国際みたいなずば抜けた人気があるわけではないけれど、それでも「リーズ」と言われたらピアノ業界の人間ならこのコンクールを真っ先に思い浮かべるはずです。おさらいをしておきますと、このコンクールのこれまでの優勝者、入賞者にはルプー、ペライア、ダルベルト、内田光子、小川典子、シーララ、コッリなどという方々がおられるわけです。初回の優勝者はマイケル・ロール。
ずーっとこのコンクールを率いてきたファニー・ウォーターマンですが、2018年に引退。このところは老人ホームで悠々自適の生活をお送りだったと伺っています。また最近どうも急速に衰えがきて記憶力が弱まっているようだ、という話も聞いておりました。100歳はまさに大往生、天寿を全うしたと言って間違いではありますまい。