フランス人のチェンバロ奏者で合唱指揮者としても活躍をしていたフランソワ・グルニエ氏(39)が、コロナによるコンサートのキャンセルの連続という現在の状況、および将来への不安に耐えきれず先週3月17日水曜に自殺した、という悲劇的なニュースを目にしました。葬儀は昨日、アヴェーヌ=シュル=エルプ教会で行われたそうです。
https://slippedisc.com/2021/03/ensemble-leader-39-kills-himself-amid-covid-cancellations/
フランス北端の都市、カレーを拠点とする古楽団体「アンサンブル・ヘミオラ」を率いていて、古楽から現代音楽まで精力的に活動をしてきた(補足しておきますと、カレーは「ドーバー海峡」で知られる街です。イギリスのドーバーを出発すると一番近い大陸の都市がフランスのカレー。水泳で人が泳ぎ切るのでも有名な場所ですね。海峡の距離は34km)。
共同でアンサンブルのリーダーを務めたチェリストのクレア・ラムケによると「彼はシャイで敏感な性格だった」
「いまは将来のプロジェクトについて熟考するよい機会ととらえるよう本人に話したが、自分の殻に閉じこもり、人の目を避けるようになっていった。次から次へと起こるキャンセルについて考え続けるようになり、やがて将来について不安から恐怖にかられるようになった。延期という言葉すら徐々になくなって行くにつれ、コンサートが行われない空白の時期が拡大していくことも恐れていた」
「今シーズンはとりわけ私達にとって重要な年でした。コンセール・ダストレ(※)と、バッハの《ヨハネ受難曲》でボリビアや(カナダの)ケベック州をツアーすることになっていたのです」
※・・・フランスの著名指揮者エマニュエル・アイムが率いるアンサンブル。このアンサンブルはカレーからほど近い都市リールを拠点としている。両都市は「オー=ド=フランス地域圏」という同じ地域圏、地方に属します。
つらすぎる。
全ての音楽家に明るい光が差し込むことを願います。