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シベリウス国際ヴァイオリン・コンクール、ロシア人出場者を排除

シベリウス国際ヴァイオリン・コンクールは世界でも最も有名なコンクールの一つでしょう。第一回目に優勝したのがオレグ・カガン!そのつぎパヴェル・コーガン!うおお。その後もムローヴァ、カヴァコス、バティアシュヴィリなど錚々たる名前が並んでいるというわけであります。5年に一回開催だがコロナでのびのびになりまして今年になりました。

で、シベリウス国際はロシア人を排除しないという発表を一旦していたのですが、ここへ来てやはりロシア人の参加を認めない、と方針を転換しました。これによってロシア人2名が参加不可ということになりました(なおウクライナ人は2名参加の予定)。

https://www.sibeliuscompetition.fi/en/news/the-xii-international-jean-sibelius-violin-competition-excludes-russian-participants-from-the-competition.html

コンクールの発表をざっくりと訳すと以下のような感じ:

世界国際音楽コンクール連盟の規約に「国籍だけを理由に出場者を排除してはならない」というガイドラインがあり、それに従ってロシア人の参加を認めることとしていたが、ウクライナでの戦争は激化を続けている。再検討の結果、現在は例外的状況であり、このようなときにロシア人の参加は不可能であるとの結論に至った。戦争の惨状および最近発覚した残虐行為から、コンクール委員会にはロシア人を排除する以外の道徳的・倫理的選択肢がない。委員会はすべての参加者に中立的かつ平和な環境を保証したいと願っている。

若者に罪はないとも言いますし、ロシア人も国家に翻弄されている、というのもまた事実なのかもしれませんが、フィンランドとロシアとは国境を接する隣国(しかも国境線は南北1300kmと極めて長い)であり、この両国が長年どういう歴史を歩んできたかを考えると、この決定にもある程度以上の説得力と重みを感じます。Wikipediaで「フィンランドの独立」なんかもご覧ください。

ロシアのサンクトペテルブルグからフィンランドの首都ヘルシンキまではわずかに300km。戦争が始まってもしばらく国境をまたぐ電車が走っていましたが、今は運行停止中のはずです。