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ベルナルト・ハイティンク死す

クラシック音楽ファンが沈黙する日。

ベルナルト・ハイティンクが一昨日、ロンドンの自宅で亡くなりました。92歳。所属事務所のアスコナス・ホルトによれば「静かに息を引き取った」そうです。長い間お疲れさまでした、ありがとうございました。

https://www.askonasholt.com/bernard-haitink-1929-2021-announcement/

オランダを代表する指揮者、世界屈指の指揮者のお一人。世界中のトップオーケストラを指揮して65年。残した録音の数は450枚を超す(どんだけあんねん!)。最後のコンサートは2019年9月ルツェルン音楽祭でウィーン・フィルを指揮した公演。引退から2年、来たるべき日が来た、ということです。

↓その最後のコンサートの動画が音楽祭公式から出ている。ブルックナー7番のスケルツォ全曲。元気いっぱい。最後まで暗譜で。バス椅子に座って。

↓そしてこっちが文字通り最後の一振り。4楽章の最後の1分。立ち上がっている。見てこの笑顔を。万感の思いちゅうやつよ。わが人生に悔いなし、て言うてるんちゃうのこれ。拍手の部分の編集がちょっと残念だがぜいたくは言いますまいて。

指揮者という仕事はあらゆる意味で非常に困難な仕事であることは誰しも同意するところだと思うんですが、ハイティンクという人はともかく人々から愛されたというイメージがとても強い。なぜか大スター指揮者らしからず控え目で内向的、礼儀正しい、決して声を荒らげないと言ったことがよく知られていて、そういった点が人をひきつけたのかも知れません。ついに永遠のサバティカルにお入りになった。お疲れさまでした。

私がベルリン・フィル木管五重奏団と秋田駅近くの居酒屋でビールをお召し上がりになりながら聞いた話では「ハイティンクがベルリン・フィルに来る時は日本には行かない」「だってハイティンクだから」「ハイティンクがベルリン・フィルを振りに来る時は可能な限り参加するようにしている」だったんだぜ。本当に素晴らしいことではないか!

・・・つっていろいろセンチメンタルな思いを抱きながらさっきオランダ第2の新聞ADのニュースを読んだところ、わりといっぱい辛辣なことが書いてあって、なかなか微妙な気持ちになった。地元ってのはやっぱ、なかなかうまくいかないもんかねえ!(コンセルトヘボウとは時々対立してたっぽいってことはなんとなく知っていたけど)

おセンチな気分のままでいたい方は読まない方がいいです。

https://www.ad.nl/show/bernard-haitink-1929-2021-was-de-grootste-dirigent-van-zijn-tijd~af0f8274/