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【訃報】エレノア・ソコロフ、106歳。米カーティス音楽院の伝説のピアノ教師。

写真 TOM GRALISH / The Philadelphia Inquirer

エレノア・ソコロフ Eleanor Sokoloff(1914-2020)、アメリカのカーティス音楽院で80年以上にわたって若いピアニストたちを教えていた生ける伝説のピアノ教師が、7月12日お亡くなりになりました。106歳でした。1914年6月14日オハイオ州クリーヴランド生まれ。戦争が始まる直前(サラエボ事件は6月28日)。

https://www.inquirer.com/obituaries/curtis-institute-philadelphia-eleanor-sokoloff-20200712.html
https://info.curtis.edu/sad-news-july-12

今年も教えることになっていたが、コロナの影響で中断したままだったそうです。自然死とあるのでコロナではありません。天命を全うされました。

100歳の時のインタビュー動画があるので、ご覧ください。ヒョウ柄の帽子に赤いお洋服、なんておしゃれ泥棒さんなのでしょう。

1931年に17歳でカーティス音楽院に入学したということですから、音楽院に関わるようになって実に89年が経過していた(教え始めたのは1936年からだそうです)。伝説のピアニスト、デイヴィッド・セイパートンの弟子。

エレノア・ソコロフが教えた生徒は数えきれず、ランバート・オルキス、キース・ジャレットや、若い人ではキット・アームストロング、クレア・フアンチ、ダニエル・シューなど。前回のクライバーン国際ではダニエル・シューが優勝しなかったことに怒っていたそうです(ネット配信で見たって書いてある)。しかし彼女の名前がそれほど表に出てこないのは、どちらかと言うとスター教師に習う前段階の生徒を教えていたからです。

カーティス音楽院について説明しておくと、1924年、エレノア・ソコロフが10歳のときにできた米国屈指の音楽院で、入学できたものは全員に全額奨学金が支給されます。歴代学長にはヨゼフ・ホフマン、ジンバリスト、ゼルキン(父)、ゲイリー・グラフマンなどがいて、有名な卒業生と言えば、バーバー、バーンスタイン、ゼルキン(息子)、ボレット、ラン・ラン、ユジャ・ワンなど。ね、錚々たる顔ぶれでしょ?

最後にちょっとにやっとするいい話。

●キース・ジャレットが有名になったあと彼女の自宅を訪問して「キース・ジャレットです。ご挨拶がしたくて」と言ったらエレノア・ソコロフは「Who?」(だれ?)と言った(教えたことを忘れていた)。

●1997年、83歳の時、夫のウラディーミル・ソコロフ(タッグを組んだピアノ教師だった。レヴィーン夫妻みたいだね)が亡くなった。そのあとに彼女は超高級なエクササイズマシーンを買った。娘がなんでこんなものを?と聞いたら、「25年の保証がついてたから」