君はホルン奏者のフェリックス・クリーザーを知っているか。
私は知っている。だが多くの方はご存じないかもしれない。少なくともウサイン・ボルトほど名が売れているのかっ、君っ!と強く問われるとあの、、、その、、、とならざるを得ないかもしれない。しかしボルトはいざしらずホルンの業界ではそこそこ、いや、けっこう知られていると思うんだよね。えっ、知らない?そんなつれないこと言わず、どうぞ「知っている」とおっしゃって。
そもそも私がこの業界でお仕事を始めてかれこれ15年ぐらいは経過しているわけなんですが、この間、本当にいろいろなアーティストの方々とお仕事をさせていただきました。その中でも特に思い出深いアーティストを教えてくれやと言われたら多分、この人はトップ5本に入ると思うな。
この方の身体的な特徴を申しますと、両腕がないんです。
えっ・・・?
そうなんですよ、生まれつき。それなのに不屈の精神でホルン奏者になっちゃったというお方。でもどうやって演奏を?足を使うのです。スタンドに楽器を固定して。生で見たらすげえって思うんですが、映像で見てもやっぱすごいすよね。
特別に車も改造してもらって運転も自分で。もちろん人の手を借りることなく食事もできる。ニュッと足が出てくると一瞬ぎょっとするのだが、人間の可能性って無限大だなと思いましたよね。
2017年にお仕事をさせていただきました。全国で公演が出来まして、協奏曲2公演にリサイタル6公演だったでしょうか。ゲリラ豪雨でコンサート時間に間に合わなかったというハプニングあり、いきなりテレビ局から出てくれと言われて本当に出演したりごめんなさいしたりなどしつつの、素晴らしいツアーだったなと思います。最後のコンサートは佐世保で、スシを頂いたりヤキトリを頂いたりしながらおビールももちろんしこたま飲んで、ウハハッて笑って楽しかったのよ。ピアノを演奏して頂いたのは津田裕也さんであった。懐かしいなあ。津田さんお元気っすかー!!(突如こんなところで呼ばれても反応のしようがない)
著書も出ていて「ツアーに合わせて日本で出せたりしないかな」とかマネージャーの方に聞かれた結果、あんなことやこんなことをしているうちに気がつけば日本語の訳も出たよね。これ↓
昨日久しぶりにご活躍のニュースを目にしたので、なんか懐かしくなっちゃいました。このたび英国ボーンマス交響楽団のアーティスト・イン・レジデンスに選ばれ、2年間同楽団と緊密に仕事をするのだそうです。素晴らしいことですね。
しかもニュースを見ますと、これが英国の協奏曲デビューとなり、そして英国のオーケストラでレジデンスを務める初めてのドイツ人ホルン奏者ということにもなるのだそうです。一緒に仕事をした方の活躍しているお姿を拝見することほど嬉しいことはありません。今後のさらなる活躍を期待したい。
というわけで思い出にふける時間は終わりで、早速本日もお仕事に取り掛かる(とりつく)のである。嗚呼月曜日。