昨日のストラド誌のオーディション話はけっこう反応がよくて、アクセス数がビュッと伸びました。皆様関心のおありになる話題なんだなと思いました。これ↓
なもんで、調子にのってもう一個ご紹介してみたいと思います。
しかし「調子にのってもう一回」というのはだいたい受けが良くなかったりするんですよね。あれ?こんなはずでは、ということになる場合がわりとある。それはコンサートを主催する側としてもよくよく気をつけなければいけないことで、お客様の心は移ろいやすいのだ。やはり顧客の半歩先を行くというのは常に忘れてはいけないことなんだと思うんですよね。
閑話休題(それはさておき)。
というわけでこれは2014年にロンドン交響楽団の第一ヴァイオリン奏者のマキシン・クウォックさんに聞いた質問とそのご回答。クウォックさんがどういう方なんかちょっとだけご紹介しておきますと、本人の公式サイトを見てきてねということになります。そこをご覧いただければお分かりになりますが、かなりぶっとんだ感じの方であります。髪の毛の色これどうなってんの。
オーケストラ作品の抜粋を演奏させることでオーディション側は何を求めるのか?
「リズム、テクニック、音程の良さ、そして美しい音」。正論ど真ん中。
オーディションを受ける人にどのような勉強をお勧めするか?
「可能であればオーディションを受けるオーケストラの最近の録音を聴くこと。もっともありがちなミスは、受験者が曲をきちんと準備していないことだ」基本中の基本だがそれが出来て着ない人が多いということ。
受験者の陥りやすいミスは?
「曲を知らないためテンポやスタイルを完全に間違えてしまうこと。これは言い訳のしようがなく、オーケストラ演奏に対する関心のなさを露呈している」。これまた基本すぎることのように思われるが、こうして強調しているということが何を意味するかはわかるよね。
協奏曲とオーケストラ作品から抜粋を弾くこととどちらが重要か
「協奏曲ではすばらしくても抜粋はだめなヴァイオリニストは何人もいる。あなたの目指す仕事はソロではなくオーケストラ作品を何年も弾くことだということを忘れてはいけない。協奏曲がだめでも採用された人もいる」。
協奏曲はどういう曲を選ぶべきか
「あまり知られていない曲は弾かないように。」
個性的な解釈は減点対象か
「審査員は門前払いする傾向がある。しかし他の面で素晴らしければトライアル(お試し採用)が与えられる場合がある」
服装で気をつけること
「着心地が良ければ。ただしプロとしての印象を与えたい。」まあこのさじ加減が難しいわけだが「迷ったらスマートな黒いパンツとブラウスやシャツでええんちゃう」。
緊張を和らげる方法は
「審査員はあなたを落とそうとおもっているわけではなく、良い演奏をしてほしいと思っていることを忘れずに」
そして私が一番おもしろいと思ったのはこれ:
オーケストラの団員に事前にレッスンを受けることは有効か、またそれは倫理的に問題か
「よくあることなので準備の助けとなると考えるのであれば問題はないと思う。ただしオーケストラ団員は非常に忙しいのでギリギリになって頼まないこと、そして審査員には意見がたくさんあるので、その人は気に入ってくれても他の人は別の資質を求めるかもしれないことを理解しておくべき」
ほんとうに、世の中にはいろいろなご意見があります。今日も一日激論戦わせたとしても平和にやりましょう。じゃジュース飲んでくる。