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濱田滋郎著「約束の地、アンダルシア」

みなさん自宅にいて何をしていますか。子供のお相手?お掃除洗濯?模様替え?トランポリン?本棚、CDラックの整理?・・・正解は、全部!!

それに加えて私はいま、本を読んでいます。子供の頃から本をそれなりに読んできました。もちろん、いわゆる「本の虫」と言われるほどまでに、ずっとかじりついてるなんてレベルでは読んでおりませんが、小学校の頃より大学生の頃まで、授業中にこっそりと机の中に本を隠しながら、読んでおりました。

しかし最近は全然本を読んでいなかった。時々アマゾンで電子書籍を読んで読んだ気になっていましたが、やっぱり紙の本じゃないとなんか落ち着かないし頭に残らないと思うのは私が古い人間だからでしょう。

昨日は素晴らしい本を読みました。「約束の地、アンダルシア スペインの歴史・風土・芸術を旅する」(AMAZONへのリンク)。濱田滋郎著(編集者の小川様に感謝申し上げます)。アルテスパブリッシング。

濱田滋郎様といえば、私が子供の頃からそのお名前を一方的に存じ上げている、スペイン音楽の第一人者。いまでも、コンサートでお姿を後ろから拝見しております。去年私達が招聘いたしましたマリア・バーヨの来日時にもお姿を拝見いたしました。

個人的にはこれまで一度もお話をさせて頂く機会はございませんでしたが、それでいいのです。お姿を見かける度に、ああまだまだ矍鑠としていらっしゃる、と遠巻きに、ありがたやありがたや、とそっと手を合わせる、私にとってそのような存在であります(おおげさ)。

15年ぐらい前に初めてコンサートホールでお見かけしたそのお姿、そして現在お見かけするそのお姿、ほぼ全くお変わりがなく、その意味でも深く尊敬しております。ご高齢になってなお変わらぬご活躍に頭が上がりません。

ご著書、読ませていただきました。スペインの歴史についてほぼ知識を持たぬ私ゆえ、最初数章はちょっと苦労しましたが、どんどんどんどんどんどんどんどんと音を立てて面白くなっていき、最後はドドドドドドドと一気呵成でございました。

適度に力が抜けて、しかし強烈に幅広い知識を横断しながら、なんの嫌味もなく淡々と流れていく濱田さんの文章を読ませていただいているうちに、自分がまるでアンダルシアに来ているかのような錯覚を覚えました。(行ったことないけど。)だいたいが単純に出来ている私は、ベルベル人とかモーロ人(ムーア人)とかいう文字列を見ると、それだけで異常に興奮するのだ。ぐはっ!!ベルベル!!ぐはあ、ムーア!!!!!げえっ、ポエニィィィッ!!(無駄に興奮するやつ)

掲載された多数の写真も非常に美しく、それらを眺めては「ああモンテフリオ行ってみてえ!!!」と私は心のなかで絶叫したのでした。うぎゃあああああっ!!!!・・・・なお、実際に声に出して騒ぐと5歳と3歳になる息子共が「なんやなんや!!面白いことが始まったんか!!」とドタドタと足音を立てて勢いよく現れ現場の収集がつかなくなるため、おすすめはできない。興奮しても静かに震えるのが正解である。

白い村っていう意味ではモンテフリオも素晴らしそうだけれど、イタリアのアルベルベッロにも行ってみたいよね。アルベルベッロに言ったらブッラータ(チーズ)も食べたいよね。

さてこの濱田様の素晴らしいご著書、いったいどういう文章だったのか、私ごときがおもろいおもろいと言っても全く伝わらない気がしますんで、サンプルとして以下に面白かった一つの例を書き抜いてみますね。アルハンブラっていう言葉について。

「なおスペイン人たちは<Alhambra>の<h>の字を読まぬため「アランブラ」と発音するが、だからと言って、「アルハンブラ」は間違い、と決めつけるのはいかがなものだろう。「アルハンブラ」と言うほうが、何か情趣があって私などは好きである。<h>の音が入るところに”モーロ人の嘆息が聞こえる”と言ったらおかしいだろうか。」(P77)

面白い。・・・・おもしろい?そらあんたの個人的な主観やろ、本家本元がアランブラって発音するんやったらアランブラで上書き保存しろや!!というご意見もあるかもしれませんけど、本当にそうかな?私はこういうのたまらなく好きですわ。膨大な知識、体験の収集があった後の、この表現でしょう?しかも押し付けやら嫌味が一切感じられない、油っこさのない、サラッサラのサラララですわ。

この本です↓