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アンドレイ・ググニンとチャイコフスキー国際コンクール

どうしてもチャイコフスキー国際コンクールに出たい!

アンドレイ・ググニンが最初「チャイコンにでたい」と言って来たとき、ワンおばちゃんはびっくりして「あなたはシドニーもジーナ・バックアウワーも優勝しているし、ベートーヴェンも2位だし他にもいっぱい入賞歴はあるし、もうこれだけコンサートもレコーディングもあるんだから、ここらでやめたらいかがです。十分ではありませんか。これで一次で落ちたり、それどころか書類ではねられたりしたら、どうするのです。失うものがあるんですよ。」と言った。

しかし「どうしても受けたい」とググニンは譲らなかった。

「年齢制限ギリギリの歳で受けて成功した例はほとんどないではありませんか」「トゥルーリの例があるではないか。ベンジャミン・フリスだって」「考え直してください」「自分の生涯の夢なんだ」「すでに一回挑戦してるでしょ」「いや何度でもやる。これはチャイコフスキー・コンクールで、僕はロシア人だ。最後の挑戦を自ら放棄したならば一生後悔する。最後の勝負だ」「わかりました。そこまで貴方が言うなら、ロンドンでやっていたみたいにドライ・ラン・コンサートをしましょう」

MCSはドライ・ラン・コンサートを数多く開催

ドライ・ラン・コンサートというのは、コンクールの曲を全て弾き通すわけであるが(会場にピアノが二台ある場合はコンチェルトをも含む)、壮行会的な役割も兼ねているので、コンサート前にはお飲み物が出て、終わった後には軽いスナックをみんなで一緒に食べ、「がんばれ!」「力まず最善の演奏を!」となるわけだ。

これまでMCSはロンドンでドライ・ラン・コンサートを数多く開催してきたが、場所がロンドンだけあって、ヨーロッパのコンクールの場合はひとっ飛びで行けるのだ。この壮行会的懇親会の出席者のうち数名はその後コンクールに出かけていく応援隊となっていた。

エリザベート国際みたいなときには、ロンドンからブラッセルが地理的に近いため、ご近所から5、6人がコンクール会場に現れる。「あらあなたもいらしたんですね。これじゃ小型バスをチャーターした方がよかったですね」ということになる。そしてこういう応援団はコンクールが終わって何年たっても“It’s our boy. I knew him from the time he was still doing the competitions”となり、その後のコンサートにもずうっとファンとして来てくれるのである。

ググニンはMCS・STIPENDIAT 二回生であるからして(※MCSのStipendiumに関してはこのページをご参照下さい)、第一回生のセルゲイ・ソボレフが数回のコンクール前に計20回のドライ・ラン・コンサートをこなしてから臨んだように、MCSとしてはググニンのコンクールのお手伝いをする。そういえばシドニー国際の前もそうだった。

MCSにとってコンクールはその「過程」が大切であると考えている。結果は「人事を尽くして、天命を楽しむ」のであって、その過程において得るものや学ぶべきものがあるのであり、ドライ・ラン・コンサートはその役割を果たしている。

例え結果は芳しくなかったとしても、コンクールに向かって、必死に頑張る後ろ姿に人は応援し感動するのであり、それが長い意味での「本当のファン」に結びつくのである。ロンドンでの、恐らく100回以上は開催したであろう数多くのドライ・ラン・コンサートはその和やかな雰囲気から、初めて演奏会に来たという多くの人達も含めて音楽ファンを確実に増やす事に貢献したのではないかと私は思っている。

ググニン応援ドライラン・コンサートは広島と東京・渋谷で開催!公演の詳細およびチケット予約は以下からお願い致します。

●5/10(金)広島公演 
https://mcsya.org/concerts/gugnin-hiroshima/
●5/11(土)、12(日)東京・渋谷公演
https://mcsya.org/concerts/gugnin-dry-run-tokyo/