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アーティストとの付き合い方。時間のこと。

アーティストとの正しい付き合い方ってあるのでしょうか。正解は、ありません。正解なんてないだぎゃあ。

しかしながら、こうしたらええんちゃうとか、こうやったらわりかしうまくいくんと違う、みたいなアドバイスは私も出来るんじゃないかと思っています。それなりにたくさんのアーティストとお仕事をしてきましたから。コンサートホールの主催者として、またあるときはツアーコンダクターとして、またあるときは芸術論を戦わせる論客として。

ちなみに最後の論客っていうのは稀でして、大抵の場合はアハハアハアハと笑って過ごしています。音楽家と文学とか演劇とかの人たちとでは、だいぶ傾向が異なっているのではないかと思うのですが、たとえば演劇の人たちは、飲み会だと言うと演劇論を戦わせ楽しんでいるイメージがあります。やはり言葉を使う芸術なので、言葉が先にでてくるのではないか、そのように思っています。

それに対して音楽家はどちらかというと論理的に来るよりも感情で気持ちいいか気持ちよくないか、という直感が先に来るような気がしています。口角泡を飛ばしガンガン激論を戦わせて、ああ今日は楽しかった、またやろう!とかそういう風にはあまりならないように思います。

美味しい食べ物をたべ、酒を飲む人は美味しい酒を飲み、比較的静かにアッハッッハと笑って過ごす、そういう時間が多いように思います。美味しいところに行く、これものすごく大事です。ま、これについてはまたおいおいいろいろと語れることもあるでしょう。

時間には余裕を持て。必ず。

ツアーコンダクターとして気をつけるべきことを今日は皆様にお知らせしたい。それは時間に余裕を持って行動。これに尽きる。えっそんなの当たり前じゃん。日本人でパンクチュアルなあなたはそう思うでしょう。それが甘い。

できるだけ遅く行きたがる人が多いのです。

リハーサルは4時からだとする。遅れたらまずいから、こちらは少し余りを計算して早めの時間の出発を告げる、すると「やだもう少し遅く出たっていいじゃん」という人がけっこういます。これが曲者です。その人のその瞬間の気持に合わせてしまい、わかったじゃ30分遅らせよう、と言ったら地獄です。

そういうときに限って電車は遅れ、バスの時刻表は乱れ、駅にタクシーが絶無なのである。心臓に悪いことこの上ない。自分自身の苦い経験から語るのですが、アーティストが「もっと遅くして」と言ってきてもそれは決然と断ること。早く着きたくなーい、待つのやだー。これは・・・断固として首肯してはならぬ決定的クリティカル事項なのである。

今は昔、10年以上も昔の話ですが、ヴァイオリニストを連れて歩いていたときに「遅く出たいわー」と言われ妥協した結果、道が混んでいてオーケストラのリハーサルに遅刻して激怒されました。「100人近いプロの人間を待たすということがどういうことかお前はわかっているのか!アーティストの言いなりになるな!!」と激しく怒鳴られました。

またあるときはチェリストがリハーサルに遅刻しそうになり、4分前に到着してなんとか事なきを得ましたが「だって僕がいなきゃリハーサルは始まらないんだから平気」と平然とのたまうチェリストを横目に私は冷や汗をバケツ50000杯分ダラダラかきました。結局間に合ったからギリセーフだったのですが(もしかするとアウト)、これで遅れていたらいま私はここにいないでしょう。

また、ある団体さんとツアーをしていた時、早めの集合時間を設定していて、アーティスト側も了承していたのにもかかわらず、1人寝坊したため新幹線に遅刻しかけたという恐怖体験もあります。そのときはバスでホテルから東京駅まで移動というスケジュールだったのですが、いつまでたっても1人出てこない。電話をしてもドアを叩いても返事なし。しょうがないのでその寝坊したやつ一人を捨ててバスで出発、お寝坊ちゃんはお目々が覚めたあと仰天しながら電車で個人移動。結果全員助かりました。

いやはや、世の中何が起こるかわからない。遅刻は厳禁。繰り返します。遅刻厳禁。