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コンクールの光と闇

反田恭平さんの2位入賞および小林愛美さんの4位入賞ということで湧いております。いやよかったですね。素晴らしいことだ本当にバンザイバンザイバンザイ!

一方で残念なニュースが入ってきまして2000年のショパンコンクール優勝者ユンディ・リが逮捕されたと。誤報かと思ったがそうではなさそうとのことであります。なんと。

それにしても、と思うのだがショパンコンクールで優勝した、あるいは上位に入賞したということは一生を保証するものではない。むしろその結果は「5年に一度の数週間という、わずかばかりの瞬間を切り取っただけ」のものなのだ。その効力や影響力は(ほかのコンクールと比べて遥かに長続きはするであろうものの)永続もしないものなのだ。

私はコンクールというものは「結婚」に近い思っていて、それはどういうことかというと、結婚したからといって「はい、二人は永遠に幸せにくらしましたとさ、めでたしめでたし」とはならないということ。むしろハッピーエンドの映画や童話でも、その後の二人の行く末は安泰かというと多分違う。王子様や幼なじみなんかと幾多の障害を乗り越え結婚したとしても、毎日顔をつきあわせていたら喧嘩せんのか、クライシスは全然ないんか!!

・・・なんて考えてしまうのは夢がないんかもしらんけど、現実的にハッピーはそれだけでは長続きしないし、ハッピーでありつづけるには努力が必要なのは間違いない。そして運の要素も確実にある。これは・・・・結婚して10年以上経つ私が言うのだから間違いない!(なんと説得力の乏しいことよとか言われたら泣いちゃう)

結婚がピンとこなければPCR検査や抗原検査、でもいいです。あれはその検査をした瞬間の結果であって、翌日には陽性になっているかもしれない。そういうもの。

ショパンコンクールについても、ピアノのコンクールで世界最高の権威と言われるものの、その後の一生が約束されたわけでは全くない。5年後には次の優勝者が出る。10年後にはその次、そして15年経つとさらにその次の優勝者が出てきて、しかも上位入賞者となるとその数はもっとドバっドバっと増えていく。人々の顔もそちらを向く。そんなんであるから(常に上昇してくというのはさすがに人間なんで無理だし、山あり谷ありであろうけれど)可能な限り強く意識的に上を向いて歩んでいかないとすぐに落ちていく。登っていくのは時間がかかり大変だが、落ちる時は一瞬で落っこちる。

ショパンに限らず、著名コンクールで優勝、あるいは上位入賞していても「あの人はいま」みたいな人は結構いるというのが残酷な現実なのだ。

ただ、落ちてしまってもまた這い上がることが不可能かというとそうでもない。抗原検査も一度陽性が出たってしばらくすれば陰性になる。ぜひまた這い上がって言ってほしい。かつてのユンディの才能のきらめきを聞いたことのある人間としてそう思うし、今回上位に入賞した人たちは本当に長い目で、ほんとずっと、ずっとずっと「勝って兜の緒を締める」の姿勢を忘れないようにして欲しい。

今回の入賞者にはこの後しばらくうわーっと人が集まってくるだろう。ちやほやされるのは確実だ。むしろ恐らく人生史上最強の強度で長期に渡りちやほやされるだろう。しかし、忘れないでいて欲しい。そのちやほやや熱気は永続しない。それどころか数年、下手したら数ヶ月で消えかねない脆いもの。気がついたときには「なんや周りには誰もおらんわ、手遅れやうわーん」なんてことがないよう、常に一歩後ろに引いた冷静な自分を持って、継続的に音楽磨き、人間磨きをしてほしいと思う。

「そんなんわかってるわ」と思っていても徐々に麻痺してわからなくなっていくものなのだから。そしてもし周りに人がいなくなってしまったら、もともと人なんか大してまわりにいない我々のような一般人と比べ何百倍何千倍も孤独を感じるだろうから。