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サリエリについて我々が知っておくべきこと

サリエリってさー、才能ないくせにモーツァルトの邪魔したりとかしてまじやばくない?

と思ってるあなたは間違いだ!

……ごめん、それかつてのわたし。謝罪して訂正いたします。

むしろサリエリの地位に嫉妬したのはモーツァルトであろう。そらサリエリかてモーツァルトの才能に嫉妬はしたかもしらんけど、大人の対応したと思いますね。サリエリってオペラ作曲家ですよ?オペラって、めちゃめちゃ利害対立があるんで、大人の対応できない人は自滅して行くんですよ(勝手な妄想です)。

それにしても映画アマデウス(この映画、もう37年前の作品なんですよ)に完全にやられたっていうかイメージを植え付けられた我々は、サリエリを低く見過ぎではありませんか。サリエリはすごい人なんやぞということを知っておいて損はない。

サリエリは・・・・・・

●無料で多くの若者をレッスンした
ベートーヴェン、シューベルト、リスト、マイアベーア、チェルニー、などめちゃくちゃな数の人たちがサリエリから作曲を学んだ。しかもみんなタダで。リストなんか週三回習ってたんやぞ。

●ウィーン国立音楽大学を作った
やっぱり教育が全てですよ。ウィーン国立音楽大学は綺羅星の如きスターを排出してきた名門校です。そりゃあグールドみたいに教育の王道から外れた天才もいますけど、こういう教育があってはじめて、道に外れる人も出てこられるのです。

●互助会を作った
互助会も良し悪しだし、ハイドンが入れてもらえなくて拗ねたとかあるみたいですけど(記憶を頼りに書いてるので間違ってるかも)、でもうまくやれば互助会はとてもありがたいものだと思います。サリエリの互助会は、音楽家の妻子が、夫が死んじゃって路頭に迷ったときに年金としてお金を出すっていう人道的なこともやっていました。みんなの不安が「パッと消えます」まではなかったにしても大幅に軽減されたと思いますよね。

●モーツァルトの魔笛を絶賛した
モーツァルトが完成させた最後のオペラ「魔笛」はモーツァルトの隣で聴いて、上演中からずっとベッロベッロ!と言い続けてたとか言うことをモーツァルトが嬉しそうに手紙に書いてるんです。

いやウィーンにずっと住んでるんならドイツ語話したらどうなんです?とか思われるかもしれませんけれど、イタリア人なんで許して。たぶん宮廷音楽家の間ではかなりイタリア語が通じたはずなんで。サリエリ先生ったらシューベルトのことはフランチェスコって呼んでたらしいですよ。いやいや、そう興奮しないで、ティラミス食べて落ち着きなよ(この頃ティラミスがまだこの世に生を受けていないことはナイショだ)。

あと、上演中は静かにしなせえ、と思うのは現代のコンサートやオペラ上演に慣れきった我々がそう思うだけで、当時はお喋りしまくってたらしいんですよね。わたしその場にいなかったんで知らんのですけど、たぶん。

●甘いものが好きなスイーツ男子
スイーツ男子とか言う言葉を私が使うとは思わなかった。我ながらゾクッとしました。甘いのが好きだったんだそうですよね。少年フランチェスコ(シューベルト)は連れてってもらったんですよ、レッスンのあとレモネード屋さんに。アイスクリームとか食べさせてもらってたらしい。むさ苦しいおっさんとアイスクリームとの組み合わせがどうにもシュールというか、なかなか想定の範囲外ですね、本当に。

●モーツァルトは殺していない
モーツァルト、殺してませんから。これだけでも今日は覚えて帰ってください。だいたいベートーヴェンもひどいよね、会話帳に「殺したと思う」的な内容のやりとりを残してるし。ロッシーニなんかもっとひどいよね。本人に向かって直接「殺したんか」と尋ねてるし。プーシキンもひどいよね、勝手に殺した前提で戯曲書いちゃうし。リムスキー=コルサコフもひどいよね、その戯曲をオペラにしちゃうし。極めつけは映画「アマデウス」、ひどいよね「わたしが殺した!!」って勝手にサリエリ役の俳優(上写真)に告白させてるし。アカデミー賞もひどいよね、この映画に作品賞ほかをバカスカ出しちゃんだから。こうして間違いは決定的に広がり、取り返しがつかない。名誉毀損である。謝罪を求める。

かわいそうなサリエリ。哀れなサリ&エリ。心を痛めて弟子モシェレスに涙ながらに無実を主張したらあべこべに「殺したに違いない」とか日記に書かれて。

みんなもっとサリエリのこと、評価してあげてくだすってもバチは当たらないと思うんです。