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ラフマニノフだって不安になる

この画像はご存知ですか。ラフマニノフと孫娘。孫娘かわええ!!・・・もそうですけど、ふだんはむっつり不機嫌なセイゲイ・ヴァシーリエヴィチがこの笑顔や。最高やね。

ついでもういっちょいっときましょ。満面の笑み。私のじいちゃん、スーパースターよ。すっかり永久保存して。

それにしてもラフマニノフがアメリカに亡命したのは45歳の時だと知って朝から動揺しています。私もあと半年すれば45歳。私は45年も生きてきて、傑作の1曲も書いていないではないか!

なんてことだ。暗澹とする私。-幕。

ラフマニノフが《パガニーニの主題による狂詩曲》を書いたのは61歳のとき。なので、初演の数日前にちょっと不安に思ったとしてもしょうがないと思うんですよね。61歳だもの、自分はうまく弾けるんか?特に24変奏の跳躍がちょっと気になってたらしい。還暦超えて跳躍を気にするような曲を作るとか化け物かとか思いますけど、本当に化け物だったからしょうがないですね。

それでお友達のベンノ・モイセイヴィチがラフマニノフに「ちょっとクレーム・ド・ミントでも飲みなよ、これは跳躍に一番効くんだぜ?」(You must have a glass of Crème de Menthe. It is the best thing in the world for jumps.)と言ったらラフマニノフは「マジか?」(Do you mean it?)と聞いた後で、ああ、二人はきっとロシア語で会話したと思うですがね、本当にいっぱいぐいっと飲んで、それで演奏してみたところ気になっていた跳躍も完璧に弾けた。なので初演の直前にも大きなグラスで一杯飲んだし、以後かならずクレーム・ド・ミントを飲むことにした。そして不安だった24変奏を指してラフマニノフは「クレーム・ド・ミント変奏曲」と呼ぶことにした。なお、ラフマニノフは普段酒を飲まなかった(出典)。

・・・というお話、知っていましたか?なに?知っている?さすがみなさん物知り博士やわあ。

そもそもクレーム・ド・ミントってなに?と思って検索してみたら25%のリキュール。でもってwikipediaにこのエピソードが掲載されているやんけ。wikipediaもこんなトリビア知っているとか、なかなかないわ。クレーム・ド・ミントマニアが書いたのか、それともラフマニノフ狂が書いたのか。俺が書きましてん、という方にぜひいろいろお尋ねしてみたいものだ。

それにしてもアルコールを接種してから舞台に上がるっていうのは私には絶対に無理。いや、アルコールなしでも無理ですがね。

●参考:楽譜を見ながら24変奏の演奏をお楽しみ下さい。演奏はラフマニノフ本人じゃなくて、アシュケナージ大先生。最初のジグザグに手を動かす跳躍のとこね。地味にむずい系のやつです。