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ジャケットのデザインを考える。常識を疑う必要性。

チラシを作成するときはぱっと見た瞬間に見た人の心に刺さるようなものを目指して作っています。CDのジャケット、昔ならレコードのジャケット。これは顔ですよねいわば。ぱっと見て惹かれるか惹かれないか、それを左右する結構重要な要素です。

今はもう私もCDを買うという行為をしなくなってしまいましたが、高校生の頃よりせっせと買い集めた数千枚程度のCDがあり、壁一面を覆っています。震災の時にバサッと棚ごと倒れたため割れたりしているものもあります。こんなにバキバキになるのかというぐらいバキバキに割れたものもあります。

さて、数日前に極めて印象的なCDのジャケットを発見しました。それはチェチ―リ・バルトリの新録音のようですけれども、ファリネッリというタイトルでした。

ファリネッリという人物については、クリストフ・ルセを呼ばんとしている我々MCSに接近してきている皆様ならおそらくご存知かと思います。有名なカストラートですね。カストラートをご存じない方はwikipediaとかとりあえず御覧ください。男性なんですが女性要素があると申しますかなんと申しますか。

稀代のモーレツメゾ・ソプラノ歌手でありますバルトリがファリネッリにまつわる作品を収めたこの録音は、しかしぎょっとするジャケット・デザインだ。目を引くことは間違いない。

デジタル処理もしくはメーキャップされたバルトリの顔に、ヒゲが生えているのである。では心してどうぞ。

・・・・おおお。これはあまりにも生々しい。グロ要素強め。現実にはカストラートにはヒゲは生えなかったそうですので、寓意的な意味合いで、分かっていてやっているのでしょうが(それにしても原理主義者から叩かれそうだ)インパクトは絶大だ。私はこの画像をぱっと見て、バルトリだということを理解するのにしばらく時間がかかりました。2秒ぐらいはかかったと思います。

こうやってインパクトをもたせることは、多分ですけど、いいことなんだと思いますよ。ある種の炎上を狙った商法とでもいいましょうか。私もうおっ、って思いましたしこうやってブログで書いちゃいましたもん。

きっとバルトリも楽しみながらアハハハとか言いながらこれにオッケーを出したのでしょうね。じゃなきゃこんな画像が出てくることはないでしょうから。いやはや、一瞬でもこれボッチェリかと思った自分を恥じたいと思いました(似てないか・・・)。

いやはや、常識に囚われてはいけませんね。避けられないことだとは思いますが、柔軟な視点はできるだけ忘れないようにしたい。