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忘れ物はありませんか

イギリスでヴァイオリニストが楽器を電車に忘れて大騒ぎという事件が最近ありまして、楽器の価値は約25万ポンドなのだとか。今のレートで日本円で約3500万円ぐらいなんですけど、ちょっとまって25万ポンドが3500万円とかポンド安すぎ。

ってそういうお話ではありませんでした。それが戻ってきたということだったそうなので、これはまあただただひたすらにラッキーというべきでしょう。日本語で読めるニュースとしてはこことかですか。

https://www.afpbb.com/articles/-/3253077

あとは本人のツイッター。

日本ならともかく、ヨーロッパで何かを置き忘れたら戻ってくる確率は低い。それなのにこれ、戻ってきたというのは本当の本当にラッキー。このあたりの感覚は日本人にはぴんとこないかもしれません。私も3年ヨーロッパに住まわせていただきましたけれど、体験的には知っていますが、そこまでシリアスに肌感覚でビンビン感じている、というわけではないと思います。日本はぬるま湯だと言われれば、そうだと思いますけれど、それでなんとかなってるからいいじゃないとも思います。日々緊張感を持ちながら一日を過ごすのって疲れちゃうよねきっと。慣れの問題かもしれませんけど。テキトー。

ヨーロッパに住んでいたときは、大きな駅とかにはスリがいるから気をつけろと言われていました。告白しますと実際にスられたこともありますしスられかけたこともあります。置き引きもあります。ああなんという間抜けな日本人だったのだろうか。カモネギショットだね。カモカモネギネギホイホイホイ。

そんな適当な私ではございますが、ツアーに出かけているときは、アーティストの皆さまが忘れ物をしていないか、常にチェックする癖がついております。居酒屋に行ったとなれば最後に座席とか掘りごたつとか見ます。電車に乗りました。降りるときには上の荷物棚と座席をチェックします。演奏会が終わった。舞台に楽譜忘れてないか、楽屋は空になっているかチェックします。

これは結局のところ、そのアーティストのためにやっていることでもあり、自衛の意味もあるのです。情けは人の為ならず、なのであります。「楽器なくした!!」えっ!!それは大変!!!(このあとの公演がやばい!!)・・・・ということです。意外と利己的です。

こういう系の失敗談というのは、音楽業界関係者に聞けばいくらでも出てくるでしょう。面白おかしく聞ける話でもあります。人から聞いて一番の傑作だと思ったのは、ロシアのあるオーケストラのツアーでの出来事。品川駅で新幹線に乗ってしばらくしてから「あ!一人足りない!!」と言われた、という話でした(結論としてはその人はホテルで寝坊していた)。

オーケストラの来日ツアーのときには必ずオーケストラからマネージャーが付いてくるので、そのマネージャーが団体移動のときは必ず人数確認をするものですが、一人抜かすとはさすがロシア人だ。

「ま、自分でなんとかするだろ」ということになって実際になんとかなったというから面白いではないですか。