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環境問題と音楽家たち

グレタさんに関しては様々な議論があり、喧々囂々、侃々諤々、いろんな意見が飛び交っているようですね。

日本ではあまり議論されていないようですが、ヨーロッパのクラシック音楽業界でも次第に環境問題が採り上げられるようになってきているようです。なんでクラシック音楽で環境問題?

それは移動に関わる部分です。ヨーロッパはともかく広いので、飛んで移動する、ということがしばしば行われる。日本はそれでも、戦後に飛行機の開発が禁じられたからどうだか、そもそも島国でヨーロッパみたいに大きくないからか、鉄道網が充実していて、北は北海道、南は鹿児島まで新幹線が走っております。なので移動もけっこう鉄道が便利だったりするし早かったりもするし、かなり時刻表も信頼も出来るので、電車移動が多いですよね。バスやレンタカーも駆使するのだ。

電車と飛行機とでは、環境にかかる負荷が全然違う、のかどうか私はよく知らないのですが、電車と比べ飛行機のCO2の排出量は5倍なのだそうです。ヨーロッパでは飛行機移動を問題視する雰囲気が醸成されつつあり、音楽家たちも電車移動をするようになってきている、のだとか。

今朝見たガーディアン紙。ジャスパー・パロットという、日本の音楽業界人なら《みんな知っていていろんな感情が渦巻く》社長。ロンドンの最大手音楽事務所社長のコメントが出ているとのことだったので読みに行ったら環境問題、温暖化問題の話でした。

そうか、と思いました。環境問題はこれほどまでにホットになっているのだなと。コパチンスカヤなんかが例に出されていましたが、彼女は出来るだけ電車移動をしているのだそうです。なるほど、いかにもコパチンスカヤ、と納得できます。

日本はヨーロッパから遠いのでさすがに飛行機以外の選択肢はいまのところほとんど考えられませんが、少なくともヨーロッパでは今後は飛行機を出来るだけ使わないのがトレンドになるのでしょう。飛行機を使わないと、詰め込んだウルトラ過密スケジュールは作れませんが、それでもよしという判断が今後増えるのでしょう。

そして移動の費用もたぶん飛行機より電車の方が高くつくんじゃないかとおもいますが、その費用を誰が負担するのか、このあたりの議論も活発になってくるのかもしれません。そもそもクラシック音楽業界はお金が潤沢にはないし、右肩下がりでもありますから、本当は主催者側で負担が出来ればいいけれど、ヨーロッパでは「本人負担」というケースも結構あるから、やっぱり本人にご負担をお願いします、ということになるのでございましょう。

電車移動ということでは、シベリア鉄道を使って日本まで来ていたリヒテルとか偉大な例外もありました。リヒテルと一緒に仕事をしていた、というジャパン・アーツの長老マネージャー氏(もうご引退されました)と長時間させていただいたことがありますが、本当に面白かったです。

昔は携帯もないし、インターネットもないので、モスクワを出た、という知らせからしばらくして、頃合いを見計らって自分がシベリア鉄道の終点の駅に行き、ポツンとひたすら毎日到着を待ち続けていた、のだそうです。列車は1日に1本しか来ないから、その列車の到着を見届けて、ああ今日も来なかった、と言って駅の喫茶店でビールを飲んでいた、とか、街には本当に小さな美術館しかなかった。数え切れないほど暇つぶしにそこに通ったので、全部の絵を覚えた、とかそういう話を聞いたのです。

実際に私はリヒテルを聴くことはできませんでしたが、こういう面白い話を聞けたのは大変面白かったし腹にずしりと来るものがありました。

クラシック音楽も環境にやさしく、が来年以降のトレンド入りか。今年も残りあと5日。よい年末をお過ごし下さい。

あと、今朝ペーター・シュライアーが亡くなったというニュースも飛び込んで来ました。また一人大御所が。