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【GW特別企画#1】主催者目線で考える《アーティスト写真の作法》~白猫/赤猫編

「アー写」って言葉ご存じですか。私ははじめて聞いた時「はっ?はっ?」ってなりまして、なんすかね、って聞き返しました。バッキャロー!(←古い)アー写だよアー写!!

いやいきなり言われてわかるかっつーの!!そういうのをお前らだけで通じるジャーゴンっていうんだよジャーゴン!!そんな言葉使うなや!!そしたら今度はジャーゴンってなに?ジャーゴンっていう単語、ドラゴンみたいで強そうだから好き。どうやら普通に英語でもジャーゴンつって使うみたいですね。知らんけど。

というわけで今日はアーティスト写真について書いてみたい。特に我々、コンサートを主催する側の視線から考えてみたい。そこで今回は自粛ゴールデンウィーク期間中につき、特別に我が家のニートどもに手伝っていただくこととした。たくさん掲載されたサンプル写真も見て、ぜひみなさんの今後の参考にして欲しい。写真が下手だなんていう事は絶対に言わないでほしい。しろうとなのだから。申し訳ありません。

クラシック音楽でも写真は大事

クラシック音楽の演奏家は演奏がすべて、とはいいますけれども、やはり宣伝にあたっては写真があったほうがいいし、その写真はぱっと見て魅力的である必要もあると感じます。

そもそもが男前、美人であるかどうかということは、もちろん関係なくはないですが、それよりもその写真が「魅力的な顔つきをしている」っていうのがより重要。チラシに使用されるアーティスト写真っていうのは、一瞬で、せいぜい0.5秒程度で判断されるものですから、主催者も気を使います。いい写真はチケット売上に貢献します。悪い写真もチケットの売上低迷に直結します。

ちなみに上の写真は誰の写真かわかりますか。そう、泣く子も黙る、あの天才だぜ・・・?溢れる才気がほとばしる素晴らしい写真だね。

なお、無理してフォトショップやBeautyPlusでスリムにしたり脚を伸ばしたりマット化するのは大変危険です。その結果「成田空港で見つけられなかった」経験者がここにいてこの文章を書いています。

ミニコラム:Y氏の独白
「・・・・なんかさっきから自分の前を行ったり来たりするぽっちゃり系の白人女性がいるなって、思ってたんですよね。いやーしかし歌手のK子ちゃん、なかなか出てこないなーって思いながら。・・・・ハッ!!待てよ!まさか!!もしもし、そう、さっきから私の目の前を言ったり来たりしているそこのあなた!あなたのお名前はもしかして・・・K子・・ちゃん?『ダー』。・・・ホゲエエ、ぜんっぜんちゃうやんけえええ!!!!・・・・あっしまった、ロシア人だっていうことがバレてしまいましたね、これはしたり。」

もちろん人間ですから好き好きがあり、A君が絶賛するものをBさんもいいかと思うかどうかはわかりません。しかし、主催者つまりチケットを売る人からしたら、これはだめやろ、とか、ええな、とか、やっぱりありますね。アーティスト自身が好む写真と、主催者が選ぶ写真は違うかもしれない。むしろたぶん全然違う、かもしれない。

前置きが長くなりましたが、以下に、主にダメな例を列挙してみましたのでどうぞお読みください。主観ですんで異論もあると思いますが、何がしかのヒントをご提供できたらと思います。

●横向き、うつむいてる写真はNG
アーティストの写真あるあるなんですが、横を向いていて片目しか見えていない写真とか、下を向き過ぎなど「目がよく見えない系」は、イメージを膨らませにくく、顔を覚えてもらいにくく、チケットが売れにくいので私は避けます。なんかシャレオツ!!(「イケてる」の古い言い方。イケてるっていう言葉も死語か)とかそういう理由で目が隠れた写真をくださる方もいますが、使いづらいのでおやめください。ただし安室ちゃんみたいなめっちゃ有名人なら話は別です。

非正面の写真をどうしても使って欲しい場合は、正面の写真とセットにしてご提出ください。しかしメインの写真は、余程のことがなければ正面を向いているものになります。

惜しい例(横顔は宣伝に使用しづらい。たとえ美しく撮れていても、正面の破壊力には劣ります。それにしても目が青くてきれいですね。毛ももふもふしていていい匂いがしますね)

悪い例(顔が正面を向いておらず目が見えない。舌が出てており品がない。ひげが悪目立ちしている。赤猫に至っては顔の向きも悪ければ目も閉じているため、さらに減点だ。二人だけの至福のひととき《~毛づくろい編~》をお過ごしください。)

●ブレブレの写真
これもアーティスト写真あるあるなんですが、なんかシャレオツ!!(古い)って言われてもまあ無理なので使いません。うおーすげーって思うようなめちゃ効果的なブレブレ写真も存在しますが、ほぼほぼ無理です。こういうトリック系の写真は使いづらいですし、長く使うことも出来ない。

悪い例(勢いが感じられるのはよいが、これではよくわからない。どうも猫パンチをしているようだ、ということだけは辛うじて読み取れる。パンチの時速は在来線最速となる165km/hだ)

●古すぎる写真
人は歳を重ねます。残念ながら一方通行です。若くてお肌ピチピチな写真をいつまでも使いたいというお気持ちはわかりますが、現実と乖離しすぎるのはいけませんね。写真は2,3年に1回はお撮りになることをおすすめします。

悪い例(かわいいのだが残念ながら今よりもずっと若い、若すぎる。むしろ生後数ヶ月の頃であろう。これはいけない、かわいすぎて気絶する)

●懊悩系の写真
演奏中に懊悩系の顔つきになられる方も複数目撃されるこの業界ではありますが、そしてそれこそが最高だ、とかいうマニアックな方も居られるのは承知しておりますが、ちょっと引いちゃうっていうか、広くご賛同はいただけませんから使えません。

ホロヴィッツは演奏中に身体を動かさず、表情を崩さず、なおかつ世界が震撼する爆演を繰り広げたという事を肝に銘じて頂きたい。

悪い例(感情がむき出しになっている。この後、凄惨なもみ合いがあったであろう事だけは想像にたやすい。だが実は仲がいい

●姿勢が悪い
顔写真なら姿勢がどうであれよいのかもしれませんが、背中が丸い、アゴがあがっている、肩がちゃんと開いていない写真はあまり気持ちの良いものではありません。券売にはマイナス。

悪い例(見事な猫背であり、アー写として失格である。八割れの表現力、破壊力、さらには《ああモフりてぇ》レベルも群を抜く。最高だね。)

●姿勢が良すぎる
バレエダンサーほどにはいい姿勢は求められていません。あんまり決まりまくっているのも引いちゃうんで、やっぱ「程々」っていう言葉があると思いますよ。

悪い例(姿勢がよすぎるとそれはそれで不安である。我が家にもダイダラポッチが出現したのではないかと恐怖で身体がすくむ。立った立った、クララが立った。意外と背は低かった)

●楽器が不自然な位置にある
楽器と一緒に収まることは非常にいいことです。直感的に理解してもらえるからです。しかし楽器はかならず自然な位置にしてください。時々、奇をてらってめっさ不安定な位置に楽器を掲げたり、楽器がひっくり返ったりしている写真、あるいは自分が楽器の後ろにいる、なんていうとんでもないものもありますが「落としたらどうする」「倒したらどうする」と見ているこちらが大変不安になり精神衛生上よろしくないです。やめましょう。楽器は高いんや!

悪い例(見ている方に不安を抱かせる構図はおすすめできない。毛が焦げたがボヤで済んだからよかったね。)

●肌の過度な露出に気をつけるべし
女性の場合は胸元にお気をつけください。海外の歌手で驚くほど胸元が開いたドレスを着ている写真もありますが、はっきり言って使いづらいです。そして外人がやっているからって安易に真似はしないことをおすすめします。お客様に不用意に反感をもたれる可能性があり、よほどうまくやらないとゲヒーンです。男性の肌露出についても同じです。そう、君がクリスティアーノ・ロナウドでない限りは。

悪い例(エッ!?アッー!!帽子しか被っていないの!!アー!!破廉恥極まる!警察はどこだ、神よ罪びとを許し給え!!・・・キリストは言われた「あなた方のうち罪のないものだけが石を投げるように」と)

えー、あー、それでは現場からは以上でございます。アーティストのみなさまも、よろしければ今度お撮りになるアー写の参考になさってください。

そのほか気をつけたいこと

あと、主催者からアー写をほしいと言われたらぜひ気をつけて頂きたいことがあります。それは惜しみなく与えよという警句の通り、出し惜しみをしてはいけないということです。

ほしいと言われて自分が今気に入っている1、2枚だけを送る人もいますが、10種類ぐらいは、ブワーッと、似たような写真ではなく、違う服を着ている、色合いが違うなど、様々な種類のものを送っていただきたい。Dropboxとか公式サイトとかに最新の写真を全部アップロードしておき、ほしいと言われたらすぐにリンクを送るっていう感じにしておいていただくのがよろしいかと存じます。

写真は主催者(=券売の責任、リスクを持つ人)が選びます。そして主催者はできるだけ売上に貢献する写真を使いたいと思っているので、いろいろな選択肢をご提供いただけるのは大変にありがたいことです。

クレジットについて

またフォトグラファーのクレジット、つまり写真の隅とかにちっさく書かれている © Oda Nobunaga とかそういうやつね、誰が撮ったかっていうやつです。これは、その写真のデータ名あるいはフォルダ名に含めておくべきです。Kinoshita Tohkichiro_img001_(C) Yamanoue Okura.jpg などとする。ちょっとファイル名が長くなりますが、こうすればこの写真は「木下藤吉郎氏の写真1で、フォトグラファーは山上憶良さんなんだな」ということがすぐにわかります。もちろん漢字で書いてもいいです。

写真のクレジットはなんですか?といちいち聞かれるのは手間ですから、最初っからファイル名に含めておいて「クレジットはファイル名に入っています」と一言書けばいいのです。なお © の文字は「コピーライト」で変換すれば出てきます。しかし©の文字が入っていると圧縮が出来ないので、ファイル名を入力する際は(C)で代用してください。それで主催者には何のことか通じます。

最後にサンプルを一つ

これまでお読みいただいてなんとなく雰囲気がおわかりになりましたでしょうか。ダメなことばっかり書いてあって具体的なイメージが湧きづらいなという方のために、これこれ、こういうのっていうサンプルを最後にご紹介いたます。

リコーダー奏者のシュテファン・テミング。この人の所属事務所のサイトに置かれている写真をご覧ください。ほぼ全て顔はこちらを向いているし、楽器を持っている写真も複数あり、かつバラエティに富んでいる。主催者にいろいろな選択肢を提供しており大変素晴らしい。ダウンロードも一発で出来る。

皆様もこういうのをぜひ目指してください。

クレジットも左下に明記されていますね。簡潔&明快。大事なことです。

それではまた。