Blog

美しいプロフィールを読みたい病

職業柄というのでしょうか、プロフィールというものをかなりたくさん目にしてきました。かなりです。この仕事について14年ぐらい経っていますので、たぶん2000人とかそれ以上です。数えたことないからわかりませんけれど。どういう人のプロフィールかというと、演奏家のプロフィールです。クラシック音楽家のプロフィールです。

日本人のものもたくさん目にしてきていますが、海外の演奏家の招聘にそれなりにたくさん関わってきましたので、海外演奏家のプロフィールを眺めることも多いです。つまり、英語で読むという行為をしてきました。

たくさん眺めてわかる、プロフィールの読み方

英語のプロフィールを眺める→訳すという作業は、最初はしんどいですが、慣れてくるとだんだんスピードが上がります。なんでかだいたいご想像はつくかと思いますが、使われている言葉や言い回しなどが似通っているからです。1000本ノックみたいなもんですね。たくさん目にしていると、頻出する単語とか固有名詞とか紋切り型表現とかが分かってくる。そういうのはだんだんかたまりで、見た瞬間ぱっと理解できるようになります。

タイトルに書きましたとおり、読むにあたっては美しいプロフィールを読みたいなと私は思っているのですが、クラシック演奏家のプロフィールって、残念なことに読み物として全然おもしろくないです。壊滅的におもしろくないです。そしてちょっと長いです。これは全世界レベルでそうです。

だれか面白くてためになる、ワクワクするような心躍るプロフィールを書いてくれないかといつもそう思って待ち構えているのですが(他人任せとも言う)、なかなかというか全くそういうのが出てこないところをみますと、プロフィールというものはつまらなくてもいい、といった共通の理解とか諦めとかがあるのかもしれないとも思います。

ただし、そんな中でも、“わかりやすく頭にスッと入ってくるプロフィール”と、“全然ダメなプロフィール”とがあって、面白いなと思ってます。ちなみにプロフィールって本人が書いている場合と、マネージャーとかPRエージェントなど他人が書いている場合がありますが、他人に任せたからいいプロフィールが出来るというわけではありません。

だいたいプロフィールっていうのはみなさん、年に1回とか大きなイベントがあったときとかに見直して書き足したり削ったりするもんですが、この作業が雑な人が結構多いんだと思いますよ。

ダメなプロフィールの例を出してみる

というわけでグダグダな例をちょっとだけ出してみますね。「ほんまかいな」と言われるかもしれませんが、本当にけっこうあるんだこれが。でもって、グダグダなプロフィールに限って「プロフィールの使用に当たっては絶対に、必ず、徹頭徹尾、例外なく、当方に連絡すること。削除追記一切絶対禁止」などと末尾に警告が書いてあったりして、脱力することになるわけです。

長過ぎるもの:情報は多ければええやろと考えて、これもあれも、それからあのことも書いたろ、というのはもうこれ、はっきりと間違いで、必要な情報が目立つ感じでリズムよく入ってこないと読む気が失われますし、本当に重要なものが雑音で埋もれてしまいます。

自分の履歴全部については自分の頭の中に入っていればよいので、プロフィールに書く必要はありません。プロフィール作成、編集にあたっては「サッカーでベンチ入り出来るのは18人だけ」っていうのをいつも頭に入れておいたほうがいいです。厳選に厳選を重ね、本当に重要だと思うものだけを書くようにして下さい。

ファクトではなく形容詞を多用しているもの:「同世代で最も才能豊かな演奏家の一人だと認識されている」などほぼ全く意味のない装飾的表現は、こちらも免疫ができていますから自動的に頭の中でカットしながら読みますけれど、それでもこういった感じの文とか形容詞とかが多発するものは時間がかかって困ります。そういうのはいらないから事実を並べてくれよ!

重複の例①:「2018-19の今シーズンの活動予定は」とか書いてあったその次の段落に「今シーズンの主な活動としては」という書き方をしているもの、ちょいちょいあります。たぶん後者は2019-20もしくは2020-21の事を指しているんだろうなと、とりあえず補完しつつ読みますが、きみの今シーズンいったい何年続くの。

念のため、と、この「今シーズンの主な活動」についてググったりしますと、あーこれ2016年の話か・・・・となることもあります。笑い事ではありません。

重複の例②:自分がこれまでに共演したオーケストラ、指揮者、著名演奏家とか、出演したホール、音楽祭なんかが列記されているプロフィールは結構ありますが、一度書かれた後、その3つか4つ下の段落でまたずらずらと・・・・。これが結構あるんだ。しかもこういう場合、微妙に名称が重なっていたり違っていたりする。まとめて書いてちょうだい。

時系列が混乱しているもの:2018年の話と2014年の話と2020年の話とが入り乱れて記述されていることもあります。時系列は上から下、あるいは下から上へ揃えて下さい。

ほかにも個性的なプロフィールはいろいろありますけれど、書いている人が「ああ面倒だな・・・ビール飲みてえ」などと思いながらやっつけで作業したのが丸わかりのものが多いですね。いや、かえってメタメタなプロフィールの方が人間くささが出ていて面白かったり吹き出したりもするんですが、褒められたもんではないです。そして本当に読んでほしい人にちゃんと読んでもらえなくなるのでお気をつけ下さい。

あと、これも地味に重要なポイントなんですが、プロフィールの良し悪しと演奏家の良し悪しにはあまり関係がありません。

・ ・ ・ ・ ・

翌日にこの続きみたいなブログも書いています:

https://mcsya.org/how-to-read-biography/