Blog

入国制限緩和に関するニュースでざわつく音楽業界

入国制限緩和に関するニュースが弾丸のように業界内を飛び交っています。あちこちで報道されていますので、業界の皆様もご注目されていることでしょう。

NHKのまとめ
https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/immigration/

●今日の分科会の行方は要注目。
https://www.kanaloco.jp/news/economy/article-244734.html
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200925/k10012633601000.html

昨日、業界の末席を汚しております私のところにも電話が何件かかかってまいりまして、「貴君の今、手にしている情報や如何に?」。情報の出し合いっこをいたしました。えっ!と驚くような話も聞きましたが、まあ待て、うわさ話だ落ち着け。

ビジネス的には「開けないとそろそろやばい」という論調が優勢だと思うんですよ。ただ、その開ける日程ですとか、開け方でありますとか、開ける量でありますとか、全方位なのかそれとも特定の地域は緩和対象外なのかとか、14日待機どうするとか、いろいろ懸念事項あり、憶測あり、噂あり、現場は混乱の極みであります。ウィーアーコンフューズド、トータリーコンフューズド。

そこで本日は私の疑問や懸念事項の数々を文字にしてみました。長いです。間違いとか誤解とかありましたらお詫びして訂正いたします。あと下記以外にも心配材料、もっとあるかもしれません。

そもそもクラシック音楽演奏家の入国はこの緩和の対象となるのか

そして、水際対策をめぐり、全世界を対象にしてきた入国制限措置を来月にも緩和し、ビジネス関係者に加え医療や教育の関係者など中長期の在留資格を持つ外国人には日本への新規の入国を認めることを決定する見通しです。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200925/k10012633601000.html

↑これですが、「中長期の在留資格を持つ外国人」っていうのは、数回のコンサートのために1、2週間とか来日するクラシック音楽演奏家も含まれるのかが不明。

演奏家たちは来日後14日間の待機を求められるのか

上のNHKのURLによれば、規制緩和後も14日間の待機を求める方向で調整中である旨記載があります。なので、たぶんそうなるんでしょう。つまり、仮に10月1日に規制が緩和され入国出来たとしても10月15日までは仕事は出来ません。リハーサルの必要なコンサートの場合は15日からリハーサルOKなので、その場合本番15日の公演はほぼ無理でしょう。

14日間の待機なんてガバガバ、管理はいい加減だろう、と思われる方もおられるかもしれませんが現状、日本人の帰国組に対して「毎日のように保健所から連絡がくる」という状態になっています。ズルいことを考えてはいけません。

ビジネストラックの対象になる?

ビジネストラックって何?っていう方はこのあたりとかをお読みください。

https://hotelbank.jp/japan-lift-reentry-ban/

公共交通機関は使えない(コロナタクシー、レンタカー、もしくは社用車などで移動)、不特定多数の人が出入りする場所への外出は不可(レストランとかバー、カフェとか遊園地ほか)などの制限が付きますが14日間の待機無しでも国内でビジネス活動が出来るというものです。この仕組は相手国とのお互いの了承が必要で、まだシンガポールとだけしか成立していないのですが、これはクラシック音楽の演奏家にも適用されるのか?

ただ、このビジネストラックの解釈にもいろいろあって、コンサートに出演出来る、という人と、グレーなんじゃない?という人がいます。

国境は全世界に対して開くのか?

この国からはオーケー、この国からは引き続き入国不可、などがあるのか。ありそうな気がしますね。我々の業界的にはまず「ヨーロッパ各国がどうなるか」でしょうか。感染者数だけ見ればヨーロッパは拡大中ですかね。

ロイターが提供しているグラフ(毎日更新)
https://graphics.reuters.com/world-coronavirus-tracker-and-maps/ja/

どの国がよくてどこはだめ、という線引きは非常に困難ですね。なんであっちがよくてうちはだめなの?と言われないようにするためには数字を明確に定めて線引きするのが一番いいのでしょうが、数字だけで決められないのがどうも世の常というもの。

国境が開くことになったとして、すぐにビザが出るのか?

国境が開くのを待ち構えている人達が多数います。いま、ビザ取得に必要な書類「在留資格認定証明書」はだいぶ前から発行が再開されていて、特別に有効期限が劇的に延長されています。つまり、ビザが欲しくて待っている人たちは列を成して待っているわけ。

制限が解除されても入国は一日1000人程度という制限がつくとなると、それっ!と人が殺到し、大渋滞が発生する可能性がある。「中央道上り、小仏トンネルを先頭に45キロ」。あな憎しや小仏トンネル。

冬に国境が再び閉じる可能性

次の冬がまもなく来ます。その時に再び国境が閉じる、という可能性が考えられます。いっぺん開いたらもう閉じない、という強気スタンスで行くのか、状況によっては朝令暮改式で行くのか、そのあたりも不透明ですね。ビジネス的には閉じるのは痛いですが、急激に死者数増加とかいうことになると閉じざるを得ないでしょう。

「死者の数を見ろ、感染者数に比べて増えていない」という声もあります。確かに。しかし冬に向かうに従い死者数が増えていったら?我々の前には2度目の冬将軍が迫っている。インフルエンザの死者数は冬に増えるがこの冬コロナはどうなる。劇的に減少するのか(よっしゃ)、同程度か(えー?)、爆上げするか(フギャー!)。この冬の結果がどうなるかを見てから判断したいところではありますが、そう言ってもいられないというのもまた業界の現実か。

そして最後に立ちはだかる壁が、

来日が可能になったとして、コンサートは黒字で成立するか

待ちに待った演奏家の来日が実現したとして、公演は黒字となるか。これが規制緩和に関しての主催者最大にして最後のジレンマですか。市松模様じゃなきゃ怖い、というイメージが消えていくのには時間がかかりそうだし、時間をかけて払拭して行かなければならない問題だと思います。外国人のコンサートには行きたくない、感染したら怖いから、という人もいそうですから、来日がオーケーになったとしても厳戒態勢を敷く必要があります。それには労力もかかります。

最初は赤字でもオッケー!!ともかく回して行くで!といえる団体ばかりではありませんので、入国が出来るようになっても外国人のコンサートは実施しない、という主催者も出てくる可能性があります。

―――――

いろいろあります。いや本当に。