最近、クラシック音楽のコンサートにおいて、武蔵野風の仮チラシが静かに流通している、そんな気がしています。
先日も北関東方面の知人より、最近都内のオケのチラシでこういうのがありましたよ、と連絡があり、メールでわざわざ送ってもらったりしました。いらすとやの画像が使われていましたと言えば、ああ、あの、と合点される方もおられることでしょう。そういったチラシを目にする機会が少しずつ増加している気がします。
武蔵野風チラシ、いわゆるひとつの、ビラ、とか、アジビラ、とかも言われますが、もう少し抑えめに言って「仮チラシ」。これは、きれいな本当のチラシができるまでの仮の姿のちらし、とかそういう意味だと思いますが正確には語源を知りません。文字がメインで画像はおまけ。主に文字情報で注目されようといったようなものです。
演劇方面ではそれなりにあるような気もしていましたが、都内のオーケストラから仮チラシが出てきていたり、あるいは関西方面や中部地方にもあって、面白いなと思っております。
上品を地で行くMCSとしてはビラとかアジビラとかは言わず「仮チラシ」と呼ばせていただきますね。 (そもそもアジるなんて言葉を知っているお若い方、絶無でございましょう?もしかすると教養としてはご存知かもしれませんが、体験的に知っている方の数は少ないはずです。私も知りません。死後の、いえ、死語の世界ですよ。「クイズ歳の差なんて」ですよ。)オホオホホホホホホホ。ホ?
仮チラシの最大の利点は何かと言うと、瞬発力です。機動性の高さです。デザイナーを介さずに、ワードとかパワーポイントとかで作ってしまうし、印刷もリソグラフとかですましちゃうので、時間がかかりません。それから、仮チラシというのはだいたい時間に追われながら作るものなので、その分、勢いが出ます(自分比)。荒々しく、威勢のいい、うまく行けば読ませるちらしが出来ることが多いのです。
これは大切だね。
その半面、弱点としては、デザイン性が低いということ、それに伴い、公演の内容もチープに取られてしまう可能性があるということ。総合的に芸術や文化を楽しみたいという方にとっては、チラシもまた命ですから、汚らしい仮チラシというのは到底受け入れられない、という方も居られます。はい。理解いたします。
しかしながら、都内のコンサート会場に行きますと、ものすごい量のちらしをどさっと渡されるわけで、下手したらどれもおなじに見えてきて、選びようがない。情報が完全に飽和している。
MCSでは、きれいきれいなチラシを目指そうと思っていましたが、大量のチラシに埋もれないような高度な絵画的デザインセンスも持ち合わせていないため、少なくともしばらくは、やっぱりその路線は変更して、仮チラシ風に行こう、そのように決意をいたしました。マンパワーも、時間も、圧倒的に足りない。その中でチラシを作っていくにはやはり、このほうが早いし、効果も高い、そんな気がしてきています。
マリア・バーヨは今日来日します。来週月曜と再来週月曜のコンサートをお楽しみに。そしてこの、上の画像のアジビラ、いえ、仮チラシでご紹介しておりますベンジャミン・フリスのコンサートにもどうぞ足をお運び下さいますよう。